第4話「7歳」



ようやく7歳になった。


どうにも精神だけは大人であり、且つ地球で生きていた人間なので、日々の暇つぶしが中々つらかった。

昔はスマホみてボケっとしていれば1日が過ぎる生活だったからなあ。


ただ、この世界ではスマホのような、すぐに暇を潰せるものがなくてよかったとも思う。

その分訓練に時間を費やすことができたからだ。



そして昔は知らなかったことが、この4年でいくつか分かった。



まずは、魔法がある。もちろんスキルなんてものがある世界なので、こちらは期待していた通りでもある。



そしてステータスがある。

これは割と最近知った。

驚くことに、頭で念じると自分の能力値が分かるのだ。

まさにファンタジー。



そして、この世界のこと。

この世界……というほど詳しくは分かってはいないのだが、自分のリース王国がある大陸はリンド大陸と呼ばれている。

そしてリース王国のまわりにも皇国やら帝国やら教皇国やらが点在している。今のところはあまり関係がないので、ひとまず放置している。



最後にスキルのこと。

7歳にはなったが、スキルの啓示は7歳になる年の始めなので、もうとっくに授かっている。

期待していたスキル名は「自家発電」だ。


スキルというのは被ることがないらしい。

効果が分かっているスキルはスキル保持者が能力を公開、もしくは考察され明らかになっていることによるという。



で、この「自家発電」。さっぱり効果が分からない。何を発電しろというのか……


スキルが発覚して以来、色々と試してはみた。

どうやらスキルを使用すると、使用者にオーラの様なものが湧き出るのだが、さっぱり出てこない。

まだスキルが分かってから大して経ってはいないが、最近はもうスキルを頼らずにでも戦い抜ける力をつけようと、一層訓練に身が入っている。



そんなこんなで最近のステータスはこんな感じ。


アルスレイ・フォン・オルヴァス

Lv 1

HP 35

MP 110

STR 57

INT 105

DEF 30

DEX 275

AGI 102

LUK 80


スキル : 自家発電


レベル1にしては高いと思う。他の人は知らんけど。


並びは、体力、魔力、力、知力、防御、器用、素早さ、幸運という感じだろう。



体力、力、防御に関しては、必死に訓練をした結果の順当な伸び方ではなかろうか。ちょっと柔らかいが、素の7歳などこんなものだろう。



知力は魔法への理解や応用力が伸びに繋がっていると思う。明確な伸び率や条件は知る由もないが、伸びているのだから今後もなんとか伸びてくれるだろう。



素早さは単純なスピードは年齢の経過や筋力量も影響するので、訓練では主に瞬発力を重視したキレの部分を意識していた。そのおかげかもしれない。

そもそもこの世界は身体がよく動く。3歳の頃に疑問に思ったことだが、どうやら内包している魔力が関係しているらしい。詳しいことは分かんね。



幸運に関してはよく分からない。これは高いのか低いのか、伸びるのか固定なのか。

一般的にみて低い値でないことを祈るのみである。



最後に一番伸びている器用さだ。

これは、おそらく剣術と魔法のどちらの訓練でも意識していたことが反映されたのだと思う。

剣術だと、力ではまだ絶対に敵わないことを考え術理を徹底的につきつめた。おかげで相手の剣を捌くだけなら騎士団でも上位に入るだろう。一緒に動体視力も鍛えられた。

魔法においては、主に正確性とコントロールを詰めた。まだまだ奥が深く、やりたい事ができてはいないが、こちらも威力、速度、正確性は中々のものだと思う。


残念なことに、幼いこともあって魔法はまだ触りしか教えられていないのだ。勝手に本を読んで習得はしたんだけどね。なので隠れて訓練をしている。

定番だと空間魔法で転移とかよくみるが、残念ながらこの世界にはその属性はないようだった。


まあ、風魔法のブーストと脚力の身体強化でいつかは転移並みの速さで動いてみたい。

身体強化もまだ「しっくりこない」という感じで上手く使えていない。おそらくだけど、ある程度の筋力がないと魔力に身体が負けてしまうのではないだろうか。


という風に、暇をつぶすために訓練した結果ステータスの伸びは確認できている。

レベルがあるということは魔物でも狩ればさらに伸びていくのだろう。楽しみで仕方がない。

どんな魔物がいるかはまた今度調べてみようと思う。





そういえば。


弟のダリルは5歳になった。

自分の主張もしっかりできるようになってきている。

というか可愛い。まだまだぼっぺたもプニプニで俺のおもちゃになっている。



そして、妹もできた。名前はレーナ。

父よ。頑張ってるな。

今は2歳で、こちらもとんでもなく可愛い。

いずれ、この子に群がる害虫がでるだろう。

全て祓ってやろうと決意している。「祓う」だ。「払う」程度ではすまさぬ。

魂から滅してやる所存です。



なんてアホなことを言ってはいるが、そもそも自分がこの先どのようになっていくのか不透明でもあるので、まずはしっかりとこの世界で生きていくための基盤を築いていきたい。




はぁ。

このスキルは一体なんなんだろうなぁ。

父や母も誰も知らんと言うし。

何かがきっかけで目覚めたりするんかな。自家発電というからには何かを自分で作り出すものだと思っているのだけどなぁ。







まあ悩んでも分からん時は剣でも振るか。


どうなっていくことやら……。

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