泥
@kyabetu_kun
第1話
泥沼があったので、手を突っ込んでみる。
肘あたりまで突っ込んでみたが、底にはつかなかった。
肩まで入れてみたが、それでもつかなかった。
水面ギリギリまでつけていた顔に、何かが噛み付いた。
びっくりして顔を離すが、その正体は分からなかった。
再び腕を突っ込んでみる。何かつかめるものはないかと探してみるが、泥を掴むばかりだった。
諦めて帰ろうとしたところ、後ろから声をかけられた。
「何か見つかったかな」
振り向くと、若い男性が立っていた。
「いえ、何も見つかりません」
僕が答えると、男は笑って歩き去った。
どうしてか、僕を噛んだ何かと、男は関係しているような気がした。
そうして僕も家にかえることにした。
泥だらけの腕に親は驚いていたけど、そのまま自分の部屋に入る。
雑誌を読んでいたりして、しばらくしたら夕飯の時間になった。
今日の夕飯は目玉焼きとソーセージだ。朝ごはんみたいな夜ご飯だな、と思って麦茶を飲んだ。
両親は僕の腕を訝しげに見ている。それが少し面白かった。
3日ぐらいはこの泥を落としたくない。
泥 @kyabetu_kun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。泥の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます