自分の好きも他人の好きも大事に「変わらぬあたたかさの隣で」感想
これはお姉ちゃん大好きっ子にもなります。
海外でデザイナーをしている姉が帰国するということで、ウキウキの瑞希。人当たり明るく、自分の好みや希望はしっかり示しながら、相手の気持ちを大切に尊重して、相手に何かしてあげるのが好き。瑞希のロールモデル(模範)はお姉ちゃんなんだなと思いました。
小学時代、姉が作ってくれた大好きなかわいい服を「みずきが着てるのは変じゃない?」と言われたことを回想します。子どもは周りと違うこと(ここでの"周り"は子どもの少ない経験に基づく極々狭い範囲)を、疑問に思ったことを「変だ」と、時に容赦なく糾弾します。大切なのは、そこで大人が咎めること、(人に危害を加えない限り)趣向は認められることや「変だ」という言葉で傷つくことを教えることです。
しかし、過去に出た瑞希の中学時代を見るに、そういった大人の適切な介入はなく、「この子は変わり者、バカにしていい」というレッテルが形成されたまま過ごしてきたように思われます。もし絵名がいれば、バカにしてくる人たちにぶつかったくれたでしょう。ただ、抵抗することは大変なので、やはり大人の適切な目があるべきです。
特に、瑞希は自分の感情を隠しがちです。自分が傷ついても、なるべくそのことを人に見せない様にします。大好きな姉には、より一層隠していたでしょう。
高校生のお姉ちゃんに出来ることは限られていたでしょう。ただ、お姉ちゃんは変だと思わない、周りに合わせて気持ちを捨てなくていいと伝えました。瑞希のあり方を承認する、とても大切なことだと思いました。
正月だから書初めという流れではあるのですが、瑞希中心の本ストーリーと「Stick to your faith」の志歩との重なりも意識されていると思います。
兄姉へのプレゼントを買いに来ていた咲希と志歩に出会います。雫へのプレゼントとして選んだうさぎのブローチの色違いを志歩に勧めますが、いつものようにかわいいものが好きなことを恥ずかしがる志歩。一度は引き下がりますが、姉から「好きなものをもっと楽しんでほしい」なら自分が思っていることを提案したらいい、後は相手次第と背中を押されます。相手の可能性を広げることにも、自分が伝えないままなら抱えていたもやもやをスッキリさせることにもなるので、一歩踏み込むのはとても大切です。他人に対して何かしてあげたい気持ちも、良い提案をする発想力も持っている瑞希ですから、後は踏み込む勇気を、瑞希の言葉や提案で救われたり喜んだり幸せになったりする人が沢山いることを少しずつ感じていってほしいです。
帰りがけに奏とまふゆに遭遇しました。穂波の件でなし崩し的に素を出す経験値を得ていることはありますが、信頼する瑞希が「いつものままで」といったから瑞希姉の前でも素が出せた、という面は大きいと思います。
帰った後、姉に感謝を伝えると、デザイナーになったきっかけは作った服を瑞希が喜んでくれたことだったと感謝を伝えられました。瑞希が塞ぎ込んでいった時期も見ているだけに、楽しそうに友達を話す姿を見られたことはお姉ちゃんとして何よりも嬉しかったことと思います。
自分の好きなものを大事にしながら、他人の好きなものを大事にできる、自慢とお姉ちゃんと同じ優しさを瑞希も持っています。
★本感想のゲーム画像あり版はnoteで公開中:https://note.com/gakumarui/n/n3e11a0592b64
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