本編
第1話 炎
王たる者しか座ることを許されぬ玉座は血で染まる。微小な光しか侵入できないその間には、
そんな女性の腕の中で眠るのは、先程まで人であった骸。もう二度と、動くことはない。
「どうして、こんな、
鈴の転がる音色が
「ダリアを殺した大罪人がいるかもしれんからな。念のため殺しておくのがオレの
ラピスラズリ色の髪に、一族の者であることを示すブラッドレッドの
彼の名は、リディオ・ハルヴァン・リーネ・ドルトディチェ。ルティレータ帝国ドルトディチェ
「ロゼ」と呼ばれた女性は、
「お母様を守りきれなかったのは、あなたの……ドルトディチェ大公の責任でしょう?」
「口を慎め、ロゼ。ダリアの実の娘だからと言って、
ロゼは絶望に打ちひしがれる。腕の中で眠るのは、ドルトディチェ大公が振りかざした剣によって命を亡くした男性であった。ドルトディチェ大公に殺されそうになっていたロゼを庇ったのだ。血塗られた手に触れても、既に温もりはない。その顔を覗き込もうにも、視界が
「私は、あなたが言うように、なんの取り柄もない。ドルトディチェ大公家の血を引いているわけでもないのだから」
アジュライト色の目から放たれる眼光は、神が振り下ろす
人形さながら、人間とは言い難かったロゼの人間らしい一面を目の当たりにしたドルトディチェ大公は、狂気に満ちた笑みを浮かべる。
ロゼはそんなドルトディチェ大公に気がつかず、「でも」と話を続ける。
「二回目の人生があるのなら、あなたの思うようにはいかない。今度こそ、最期、この方が、立ちはだかるでしょう」
桃色の唇から紡がれる言葉は、不思議と説得力があった。背中を駆け上がる恐怖を感じ取ったドルトディチェ大公は、ロゼの命の
ロゼは、燃え
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