無駄

箱と球が太い針金で繋がっている楽器。

カーッッッという何とも言えないけど、なんとなく好きな音の鳴る楽器。

私はいつまで経ってもあの楽器の名前を覚えることはできないんだろうな。


別に分からなくたって大いに構わないのは間違いない。『あの楽器の名前が分からないヤツは負け組だ!!』とか言う輩がいたら、髪を剃ってモヒカンにしてやる。


知らぬは恥というけれど、さすがにあの楽器の名前が分からないのは恥ではない気がする。



でも。ふとした時にあの楽器の名前を調べるその時間。

それだけは何よりも無駄な時間な気がする。


失敗したこと、恥ずかしかったこと、人生のありとあらゆるどんな場面よりも、あの楽器の名前を調べている時間の方が圧倒的に無駄なんだろうなとは思う。


激安イタリア料理チェーンの末尾が「ア」なのか「ヤ」なのかを議論してる時間と共に、人生無駄時間トップ2になると私は思う。



だからといって、名前を覚える気はない。

「カーッッッっていう楽器」で通じてしまうんだもの。


ごめんね、あの楽器。

特徴的な音を奏でられる君が悪い。

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