#23 秘密を守るためならば
中学時代、俺は独学で学んだ魔法のアレコレ、例えば数々の魔法の呪文や
だが、中学3年の高校入試ギリギリまでホグワーツからの入学招待状を待ったが、結局、そんな招待状など届かなかったことで目が覚め、普通に高校を受験して高校生となった。
そして、高校に入学して早々に、今度は特殊なスキルを持つという設定を思いついて、『
因みに、サーガには俺自身のことだけではなく、ランちゃんの『
だから、特殊スキルの秘密を守る為にも、サーガの中身をミヤビちゃんに見られてしまうのは非常に不味い。
ヒーローとしての秘密を知られてしまうことは勿論だが、発動スイッチであるいちじく浣腸の秘密を知られてしまえば、友達関係の解消は回避出来ないだろうし、中学時代以上に人間扱いして貰えなくなることも想像に容易い。
最悪、グリモワールを諦めてでもサーガだけは奪還する必要がある。
しかし、パワータイプのミヤビちゃんから力技で奪い返すのは至難の業だ。
仕方ない・・・
ヒーローとしての秘密、そして俺の人権を守る為にも、特殊スキルを今行使するしかあるまいな。
俺は覚悟を決めると、ズボンの左ポケットに手を入れていちじく浣腸を取り出す・・・あれ?無い!?
そうだ!
さっきシャワー浴びて着替えたばかりだし、普段も家に居る時は携帯してなかった!
いちじく浣腸のストックは、ベッドの下に隠している風月堂のゴーフルの缶の中に仕舞ってある。
ミヤビちゃんの注意が逸れた隙に缶から取り出して特殊スキルを発動するしかあるまい。
四つん這いの体勢のままチラリとミヤビちゃんの様子を窺うと、紅の魔導書を読むのに集中している。
今だ!
俺はゴロゴロと転がりながらベッドまで近づき、ゴーフルの缶を取りフタを開けると、いちじく浣腸を1つ取り出し左手に持った。
先端を口に咥えてキャップを外すと、流れるような動作でズボンの中に突っ込み静かに挿入し容器を潰して浣腸液の注入を開始した。
注入を終えると空になった容器をゴーフルの缶に入れて、缶も元の位置に戻す。
ミヤビちゃんが目の前に居る為、気付かれやしないかと緊張で全身の汗が止まらない。
ジワジワと便意が沸き上がって来た。
来たぞ来たぞ!
この感覚、久しぶりだ!
俺は勢いよく立ち上がると、『
突然の俺の奇行にビクッとして驚きの表情を見せるミヤビちゃん。
俺は素早い動きで飛び掛かるようにして机の上に置かれたノートの中から白の英雄譚と黒の英雄譚の2冊目掛けて手を伸ばした。
だが、再びミヤビちゃんが驚異的な反射神経を見せ、俺の伸ばした手を手刀で叩き落そうとする。
しかし、スキル発動中の俺はそんな攻撃を物ともせずに目的の2冊を掴むとそれを胸に抱きしめカメの様に体を丸め、ゴロゴロ転がって廊下へ出た。
無事に部屋からの脱出に成功すると、立ち上がって1階へ駆け下りトイレに飛び込んで内側から鍵を掛けた。
どうやらミヤビちゃんは追いかけては来てない様だ。
しかしのんびりしている場合でない。
2冊のサーガは一旦置いて、速やかにズボンを脱ぐと便座に座り、用を済ませた。
因みに、ミヤビちゃんの特製激マズ野菜ジュースのお蔭で、今日は朝から既に2度出しており、3度目となると浣腸液などの液体が出てくる程度だった。
便意が落ち着いくと、便座に座ったまま証拠隠滅の作業に取り掛かった。
2冊のサーガを1ページづつ破り細かくちぎって、少しづつ便器で流した。 後でバレたら母さんに怒られそうだが、こうなっては仕方あるまい。
5分程で作業を終えると、お尻を拭いてズボンを履き、トイレを出る為の身支度を終える。
かくして、特殊スキルの秘密のアレコレは守られた。
しかし、俺の特殊スキル、困ってる誰かを助けることよりも、困った自分の身や秘密を守ることにしか使ってないな。
こんなことで、本当に成り上がってヒーローになれるのだろうか・・・
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