The scratch Site
srpnohito
第1話ーネットの崩壊
2022年1月26日ーScratch財団管理局より緊急通達
『2021年12月24日に、全世界同時に起きた大規模scratch通信障害について。』
Scratch財団は、2006年にMITの『ライフロング・キンダーガーデングループ』のプログラミング教育団体として発足し、2023年現在、世界最大級のIT企業となった企業である。その財力を以てして、全世界に張り巡らされたscratchサーバーから、様々な情報を発信しているのだ。
そんな財団が発信した情報によれば、どうやら2021年の東京五輪の際に、 scratchの公式サイトに正体不明のウィルスが入り込んだらしい。
その結果、2020年12月24日のクリスマスイブの午後10時30分から翌25日の午前0時まで、世界中のコンピューターがダウンしてしまったようだ。
「……ってことは、俺達が2023年からタイムスリップしてきたのも、その影響なのか?」
「そうかもね……。でも、そうなると私達以外の人はどうなっちゃったんだろう……」
「それなら、この世界に既にいるはずの俺達の親父やお袋はどうなってるんだよ」
「確かにそうだよね……。私達は今、西暦何年にいるんだろ??」
「まあ、それも調べれば分かるだろ。それよりも今は、ここから出る方法を考えないとな……」
「うん、そうだね。」
こいつの名前は2023年の『Scratch Cat』で、2025年には世界初の音声アシスタントになるはずだ。確か、猫型のロボットだったはずなのだが、こいつは普通の人間にしか見えない。いや、よく見ると耳と尻尾があるか。それにしても、本当に可愛い顔をしてるよな……。
俺は、思わず彼女の頭を撫でてしまった。すると彼女は少し照れくさそうにして、こちらを見つめてきた。
「ちょっ、ちょっと!急に頭なんか触らないでよ!」
「ごめん」
「もういいけどさ……。それより、早くここから出ようよ」
「ああ、そうだな」
俺は彼女と一緒に出口を探したのだが、中々見つからない。しかし、ようやく扉らしきものを見つけた。
「おい、これ見てみろよ。扉みたいだけど開かないぞ」「本当だね。じゃあ壊そっか」
「えっ!?壊すのか?」
「だって、このままここにいても仕方ないじゃん」
「それはそうかもしれないけどさ……」
「大丈夫だよ。こんなのすぐに直せるから」
「マジかよ……お前凄いな」
「まあね。私は天才だから」
彼女が右手をかざすと、そこに小さな光の玉が現れた。そして次の瞬間には、大きな音が響いて目の前の壁が崩れ落ちた。
「よしっ、開いたね!」
「……」
「あれ?どうしたの?」
「いや、何でもない……」
壁を壊したのはお前じゃないかと思ったが、言わないことにしておいた。それにしても、まさか彼女が魔法使いだとは思わなかったぜ。しかも超がつくほどの天才とはな……。
2023年では、まだ科学が魔法に追いついていないのだろう。だから彼女は魔法を使える。
彼女の名前は『SCP財団超常現象学的網羅職員会』という2025年から始まったプロジェクトに入る
『愛川職員』だ。このプロジェクトは2025年に発足し、2029年まで続いたとされている。そして2031年になると、このサイトは閉鎖されて財団の管理下から外れているのだ。
「ねえ、君の名前はなんていうの?」
「俺の名前か?俺の名前は神崎優斗だ」
YouTubeからー- Y-GUSPnews scratch財団、SCP財団と超常現象学研究提携へー、 活動状況が確認されている有名スクラッチャー「abee」氏なども協力-
「へぇー、そうなんだね。それで君は何歳なの?」
「俺は15歳だ」
「ふぅん、そうなんだ。私より一つ下なんだね」
「まあ、そういうことになるかな」
「これからよろしくね。優斗くん!」
「おう、よろしくな。」
--------------------一方、SCP財団内では--------------------
「博士、大変です!2025年の世界線に存在するはずのscratchが消えてしまいました!!」
「どういうことだ!?一体何があったんだ?」
「それが、原因が全くわからないんです。突然、scratchの公式サイトが閉鎖されてしまったのです。」
「なるほど……。原因は不明ということか……」
「はい……。申し訳ありません」
「いや、謝る必要はないよ。それより、今すぐscratchについての調査を始めてくれ」
「わかりました。直ちに取り掛かります」
「頼むぞ」
こうして、再び世界線は動き出した。当時インターネットの時間旅行が出来たサイト『Wayback machine』でSCP財団は調査に取り掛かった。その結果、scratchは何者かによって削除されたことがわかった。
また、その削除の仕方が異常だった。なんと、サーバー内のデータが全て消されていたのだ。
この事件をきっかけに、世界線の移動はより一層困難になってしまったのである。
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