『ご入学おめでとうございます』 作:秋月渚

 それは例えば


 2↓*5←8↑*1↑2*2↑

 1↓7→4→*4↓1↑

 2↓*3*1←73↑


 だったりするわけだけど。

 さすがに簡単だったかな。

 じゃあ次に行こうか。

 こういうのはどうかな。


 つ兵孶

 ずゑぷへざ

 つてごゎど


 これはちょっと複雑、というか訳が分からないよね。

 ヒントはウニとタコ二匹だよ。

 もしかしたらこれだけでは思いつかないかもしれないね。

 ウニは置いておくとして、タコ二匹には足が合計何本あるかな。

 その数字とウニを並べたら、もしかしたら気付くかもしれないね。

 さてさて、まだまだいくよ。


 ZFRASSZHVSFTIKIPFSZFNHDTHJS


 なんだかランダムにアルファベットが並んでいるように見えるね。

 でもきちんと、ある法則によって完成している文であることは保証しよう。

 僕は裏切ることはないよ。

 あ、もしかしたら上の文の中に見覚えのある並びがあるかもしれない。

 見覚えがなくても、きっとこれから何度も見ることになる。

 保証しよう。

 事実、僕は何度も見ることになっている。

 もしかしたら今も見ているかもしれないね。

 あ、そうだ。

 もう多分気が付いているよね。

 三つの文の共通点に。

 もし気が付いていないというのなら、それは多分解いていないってことだね。

 時間ならたくさんあるから、一度戻ってじっくり考えてみるといい。

 三つのうち二つでも解ければ、きっとわかるはずだよ。

 それじゃあ、共通点もわかったところで最後の問題だよ。


 難しく見えるとしても錦も霜も路にある

 若し関りが恨みでも浅く色づく霜はあり難く

 明るく妙に逢うのが坂なのだ


 あまりいい問題文ではないのは、僕の不徳の致すところだね。

 こればかりは僕もチャレンジ精神を出したことを少し後悔している。

 だからお詫びにきちんとヒントを出そうと思う。

 ヒント一つ目。

 答えはすべて平仮名だ。

 ヒント二つ目。

 上の文章は「有名な作品」から抜き出した文字を利用して作成されている。

 ヒント三つ目。

 この文章では作成の際に元の文章を二度変換している。

 そのうちの一つは前の三つの問題の中ですでに利用されているものである。


 どうだっただろうか。

 この第四問に関しては、「答え」を出すのはきっと簡単なことだろう。

 きちんと「読んで」いたなら、第四問は問題を見ずに回答できるだろうね。

 でも、「どうしてそうなったのか?」という「問い」には答えられないことだろう。

 もしかしたら最後の問題は流石に投げてしまったかもしれない。

 そうだったとしたら、伏してお詫びしよう。

 こればかりは暗号作製技術のない僕の責任だ。

 本当に申し訳ない。

 ただ、こういうこともできるのだと、知ってもらえたのなら本当に有難いことだ。

 それじゃあ最後になるけれど。


 ご入学おめでとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る