第6話 この辺りで一瞬ダレがち
「という訳で、お宅ら暇人にバグとりして欲しいんよ。なんか質問ある?」
俺は即座に手を上げた。これは質問を差し置いて、抗議の意を示さねばなるまい。
「世界を救う旅、という立て付けはどこへ行った! モチベーションの維持は大事だぞ!」
「うるさいぞ! 暇人! いや、
おお、なんという迫力……。えらい剣幕だ。だがしかし女神の姿で怒られるのは新しい扉が開かれたかもしれん……。もっと叱ってほしい!
「四人目! 要る!? 何なら僕がついていこうか!? 時間ないし」
「ちょっと待て。それは困る! いや、厳密に言うと付いてきてもらうつもりだったのだが、小さい妖精の姿がいい! それがナビゲーターとしての正しい姿だ!」
「分かるような分からんような……」
ケンジさんがなんとなく賛同してくれている様だ。
「あたしも、AIよりは普通の人間の方が心強いかな。おっさん、しかも割と危なめな二人と旅なんて電脳世界上とはいえ嫌だし」
「くぅぅ……。じゃあ、探しますよ! 探せばいいんでしょ! ニート同然の女性を!」
「言葉は悪いがそういう事だな。あ、賢二さん。その間にあなたには職業とスキルの付与を」
「おお! イイですね! お願いします!」
「はい、では汝に職業【大魔動詞】とスキル【罵詈造魂】を授けます」
俺はアスミの時と同じように仰々しくケンジさんの頭に手を当て、【
これでケンジさんは初級魔法【爆火夜狼】を使用可能になるはずだ。
「ケンジさんは魔法使いです。詠唱は悪口のみ! 簡単でしょ?」
「敵に向かって口撃してれば攻撃になるってことか! ストレス解消にちょうどいいな!」
「なんかちゃんとした職業でいいなー。あたしも魔法とか技とか使いたーい」
「じゃあ武闘家JKってことにしようか?」
「なんでもありじゃん」
「それがこの物語の面白いところじゃないか」
という事でまたしてもアスミちゃんに【
「何このJKモンクって」
「JKにはこだわりたかったので。モンクは文句です。心の中で文句をぶつくさ唱えるとチャクラが練られ……」
「なんか、後ろ向きな技名ばっかりじゃない!?」
「この物語は俺のストレス解消でもある。故に不平不満は大いなる力となる!」
俺は拳を突き上げた。アスミも、ケンジさんすらも白い目で見ているが気にしない。
「あの、検索したのですが主婦の方でも宜しいですか?」
「駄目だ!!! ナーロウ!!! ちょっとこっちへ!!!」
「え、なんでしょうか」
「いいか、俺達が探しているのは時間の空いている暇な人だ。そういう条件の時に二度と主婦を含めるな。主婦が暇だという世間の風評は今この場で捨てろ! 燃やせ! さもなくば燃えるのはこっちだ!!」
「え、はい」
全く、主婦が暇などと言うのはとんでもない誤解だ。大半の家事は時間がかかるし、子供が居ようものならその手間は倍々ゲームで増えていく。これは、いくつかの主婦系作品にダイブした経験だ。まあ、その作者が過剰に書いている事を差し引いても楽な作業とは言えない。ナーロウはそういうところがAIなんだよな。ちゃんと暇な女性を探してもらわないと。
「じゃあ、後はこっちで現パーティーとのマッチングを行います」
Now Loading……
「はい、見つかりました。ちゃっちゃと行きますよ!」
ナーロウは慣れた仕草で召喚を行う。
「? 何ココ」
現れたのは男だった。イケメンの。
「話が違うじゃないか、ナーロウ!」
「そうよ! あたし、女の人がいいって言ったのに!」
「僕は幼……」
「「黙っとれ!!」」
「いや、この人中身女性だから。ちなみにこのキャラはBL系の主人公さんです」
「ごめんごめん、今何が起きてるの?」
なるほど、さすがにそっち方面はカバーできていなかった。てゆーか男の体で男に迫られる女とかなかなか攻めたな。それはそれでそのまま一本小説が書けそうだ。
「スイマセン、お楽しみの所申し訳ないんですが、どうやらインスタがバグってしまったようで。あなたはこの世界を救う勇者パーティーに選ばれてしまいました」
「ハァ? なにそれ、面白そう!!」
意外な反応である。
「なんだか、乗り気なのでナーロウ、俺達と同じところまで説明とアバターの変更を宜しく」
「了解です! やっと、これでやっと旅に出る事が出来るんですね!」
ナーロウは嬉しそうだ。焦らされる方が好きなタイプなのかな? 女神の姿だと色々妄想が捗ってイイね。さて、問題は職業とスキルだが……。俺(万能)、アスミ(JKモンク)、ケンジさん(大魔動詞)ときたらヒーラーが必要だよな。僧侶とか聖女とか。薬師とかもあるな。とにかく回復できそうな職業とスキルを……、いい事思いついた!
「ナーロウ! 説明終わった?」
「皆さんと違って凄く前向きな方なのでもう終わりそうです!」
凄く、凄く笑顔だ………。なんかごめんね………。
「じゃあ、恒例の職業とスキルの付与を」
「はい! お願いします!」
急に敬語になりやがって現金な奴だ。
「職業とスキル! スキルはともかく、無職の集まりだと笑っちゃうね!」
お姉さんの口撃! 全員の心に100のダメージ!
「と、ともかく。あなたの職業は【使役女子】! スキルは【ヲニ召還】!」
「つまり?」
「状況によって各種ヲニを召還してください! 回復ヲニ、攻撃ヲニetc...」
「へぇ~、便利そう! ありがとね!」
ついに、四人の仲間が揃った! いよいよ冒険の始まりだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます