第6話 武装選択
「リーダーはアストン。アタックは2日後の12時30分から。ダンジョンはヴェスヴィオ炭坑跡ですね」
「はい」
カウンターの向こうの受付の女の子が書類をチェックしながら言う。
アストンが緊張したような面持ちで答えた。
ここはダンジョンアタックの受付所だ。
ミッドガルドの冒険者ギルドを思わせる高い天井の大きなホール。広く取られた窓からは白い光が差し込んできている。
壁には巨大な柱時計が掛かっていて、チクタクと機械音が聞こえていた。
ダンジョンアタックが競技化されて見世物になっているということは、こういう事務局的なものがあっても不思議じゃないが。
想像よりもはるかに組織化されているな。
「では、この許可証をダンジョンの入り口にいる係官に渡して中継用の
そう言って複雑な模様が描き込まれた受付の子が紙片を渡してくれた。
アストンが紙を受け取ってポーチにしまい込む。
「初のアタックですね。御武運を」
「ありがとうございます」
アストンが緊張した口調で答えて俺の方を振り返った。
一つアイディアがある。俺を信じてアタックをしてみないか、と言ったのは俺だ。
それに、今まで何百回も言われた。たかがゲームだろ。そんなことして何になるんだ、と。
だが、今ならこの経験を活かせる。
やるべきことをやろう。
◆
アタックの手続きが終わったら武具防具屋に来た。
さっきのギルドっぽい建物と同じく、ミッドガルドのゲーム内で見た武具防具屋と似ている。
壁沿いには鎧や防具が整然と並べられていた。
「アトリさんの武器はライフルでいいんですか?」
「ああ、これがいい」
ガンナーは銃を使うクラスだ。銃は一種類しか装備できないが、種類そのものは色々ある。
コースをきっちりなぞるタイプのRTAなら兎も角、ミッドガルドのRTAは必然的に戦闘が起きる。
となると、多様な状況に対応できるバランスタイプの方が良い。偏ったタイプの武器は相性が悪い敵が来るとアウトだ。
それが全種類の武器を試した結論だ。
「アストンたちはそのままでいいのか?」
「ええ、慣れた装備ですから」
アストンの装備は
攻撃発生の速さと間合いに優れた軽戦士の定番装備だ。
マリーチカは
修道僧はクレリックと違って近接戦闘もできるが、刃物を付けられないというクラス特性がある。
破壊力重視の
オードリーは魔法の
魔法使いの9割はこれだろう。
あともう一つ。此処でやらなければいけないことがある。
待機していた店員さんに声を掛けた
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