私に起こったこと
名無しの詩
プロローグ 私はいつも闇にいた
あれは9年以上前のことです。
平凡である自分が許せないことがありました。
私の母親が、脳内出血の末、半身不随になってしまったこと。
「娘の私が何か言ってれば、結果は変わったのに」
ずっとそう後悔していました。
そんな毎日の中で、とあるまじないを見つけました。
曰く、「霊を降ろして知恵を授かる」というもの。
いつもの自分だと、そんなものに引っかかることはなかったでしょう。
しかし、そのころの私は「母親を救うためならどんなことでもする」という精神状態でしたから、まんまと罠にハマってしまったわけです。
いわゆる「こっくりさん」ですか。
原理については詳しくないので省きますが、紙の上に乗せた10円玉に指を乗せ、呼び込みの言葉をかけると10円玉が動くものです。
私の場合はひとりで行いましたけど。
ボードさえあればできたので、タブレットでボードを作って毎日リーディングしていました。
毎日それを繰り返すと、ついに左手が勝手に動くところまで行きました。
私自身はそれに関して何も感じてませんでしたが、今考えるとおかしなことですね。
リーディングを繰り返す間に、頭の奥から声が聴こえるようになりました。それからは眠っている以外の時間は、何かしらの声と会話していました。そうなるともう夫も気味悪がってしまい、「いい加減にしろ」と怒鳴り叩いてくるようになります。
ある時期から、声は友好的ではなくなりました。「しね」とずっと言ってくるようになりました。心を休めるために寝ようとしても、脳裏に電気信号のように「しね」と映し出されました。私が手入れをしていたクロヒョウのぬいぐるみも、「しね」と言ってくる始末です。
夫が「病院に行け」と言っても、「私は大丈夫なの!」と言って聞かなかった私。妄想の人物から命じられて靴に霧吹きをかけている妻を見て、夫は何を思ったことでしょう。
その後入院し、調子が少しずつ良くなり、また悪くなって入退院を繰り返したこと。
「防災活動」との出会いと、自分のリカバリーについてをシリーズにまとめます。
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