心の片隅に

ゆたもち

序章 心の傷

罵声が聴こえる、、、

自分を罵る声がする、、、


何故?どうして?何故お前は止められなかった?


理不尽な怒りだが、怒りの主の感情は自分にはよくわかる。


自分だって同じ事を思っている。

この現実が夢であってほしいとも願っている。


静かな斎場に響く怒りの主の声。

それは、亡くなった娘の親であり義父母となる予定であった人。


「側にいた君が何故異変に気付けなかった!もっと早く気づいてくれれば娘は命を絶つという選択はしなかったはずだ!君は何をしていた!」

義父となるはずだった人は涙を流しながら、肩を力強く掴み訴える。

義母となるはずだった人は息子に支えられながらただ泣いていた。


「すいませんでした」

ただこの言葉しか口から出すことが出来なかった自分は、ひとしきりの罵声と怒り、そして亡くなった人の親族から向けられる目に晒されてその場に力なく佇んでいた。


今から1x年前の夏の夜の出来事

悪夢だった



1x年前、自分は最愛の人「婚約者」を亡くした

病気や事故ではなく、彼女自身が自ら命を絶って、、、


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る