花道自転車

@RAMDarling

第1話


「 せーんぱいっ! 」


「 …っぁ!? うわ …っ 」


後ろから抱きついただけでそこまで驚かなくても…と思いながらも 先輩に手を差し出す


そうしたら先輩は怪訝そうな顔をして「別にひとりで起きれるから 」と拗ねた様子で立ち上がる


「先輩ここで何してたんですか?いつもは自転車で通学してるのに」


私は家が近いから歩いて通学しているものの、先輩は家が遠い。

ここまで歩くのも疲れただろうに。


「…別に、!ほら、遅れんぞ」


そう言って先輩は私の髪をくしゃっと撫でる








1限目終了ののチャイムの音が鳴った瞬間先輩のクラスに急いで走る。


教室のドアの隅から先輩がいることを確認していると、先輩から手を振ってくれた。


慌てて机に駆け寄る。


「 … せ、先輩 … 進路表描きました…?」


数ヶ月前に配られた進路表、まだ提出していないのは私だけだとこっぴどく叱られた。


あの鬼先生許さないぞ、なんて考えながらも特に書くことなし。

宛もなく先輩に泣きついてるという訳で ……


「ん?俺は鏑木町の高校に行くつもり」


少し考え込んで先輩は口を開いた。


「この田舎に高校なんてあそこしかないし、みんなあ そこに行くんじゃないのか?」


先輩の机に突っ伏している私を見て不思議そうな顔をしている。


「…そっか、寂しくなりますね」


先輩は、私がこの田舎の高校に行くと思っているのだろう。

予想と違った回答だったのか少し驚いたような表情で私を見てくる。


「実は私 … 」



「中学卒業したら、東京に行くんです」

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