おれ、半魚人
怪人トウフ男
一話完結
半魚人「おれ、脳が半分魚だから算数できないのよね」
人間「半魚人さん、自分のことを半魚人だなんて言ってはいけませんよ」
半魚人「なぜですか」
人間「半魚人は人間社会から追い出されるからです」
半魚人「追い出された半魚人は何処へ行くのですか」
人間「海です」
半魚人は、とりあえず下見するために海に行くことにしました。
半魚人「そこにいるのは誰ですか」
???「私はマージナルマンです」
半魚人「マージナルマンさん、ここで何をしているのですか」
マージナルマン「マージナルマンは、海からも陸からも追い出されたので、海と陸の狭間で昼寝をしているのです」
「凄いや。マージナルマンさんは自分の居場所を見つけたのですね」半魚人がそう言うと、マージナルマンはニカッと笑って誇らしげな顔をしました。それが悪かったのでしょうか。ニカッと笑った口の端にヒビが入りました。ヒビは見る見るうちに広がって、マージナルマンの全身を覆い尽くしました。「全身がもの凄く痛いよ」マージナルマンは起き上がり、海水を手にすくって、ヒビになでつけました。表面のヒビを均そうとしたのです。
「うわ痛ッ!塩が滲みる!」傍目にはとても愚かなマージナルマンの一連の行動でしたが、半魚人は何故だか他人事のように思えませんでした。だから半魚人も海水でマージナルマンのヒビを直してあげようと思いました。二人は何度も何度もヒビをなでつけました。マージナルマンの身体のヒビは、なでつけると少しだけ消えました。でも別のところを直しているうちに、また開いてしまうのです。
表面だけのように見えたヒビでしたが、実はマージナルマンは身体の深部から裂けていました。
二人はようやく事態が深刻なことに気づき、本格的に焦り出しました。ヒビを撫で付ける手に力が入ります。
そうこうしているうちに、マージナルマンはだんだん砕けてきました。「…たいへんだ!」半魚人は大慌てでマージナルマンのヒビの隙間にセメダインをつけようとして(バラバラグチャグチャ〜)マージナルマンは誇らしげな顔のまま崩れて砂浜の一部になりました。
半魚人は疲労感を覚え、直近30分の出来事を全て見なかったことにしました。
おれ、半魚人 怪人トウフ男 @kaijin_to-fu_otoko
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