一章 0 延長線上の道は続く
真っ赤だった。とにかく真っ赤だった。
景色の全てが赤色に埋め尽くされていて、それでも何か他の色を探そうとすると、血の底から小さな少女が手を伸ばしてきて彼を赤色の海に引きずろうと手を引いてくる。
————あなたも。
————あなたが。
それに彼は首を振る。違う、違う。そんな意味のない言葉を、何もない空間で叫び続ける。
毎晩、毎晩そんな世界に取り込まれる。
「————っっっ‼︎」
そして毎朝それが夢であることを知り、心が平静を取り戻す。
消えることのないその声と色に、ずっとずっと支配され、五年の月日が経過した。
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