第26話 パーティを組もう!
-side オーウェン-
「こちら、今回の報酬です」
「ありがとうございます!」
冒険者ギルドへ着いて、素材を提出する。
スライムやゴブリンの討伐はほとんどお金にならなかったが、オークの村を壊滅させたという事もあり、討伐報酬が1万リオン。素材が2万リオン。
合計3万リオン。約300万円くらいだ。
流石、Aランク1匹とBランク2匹。オークキングとオークジェネラルの素材はかなり高く売れた。
確かに、オークキングの体を半分失った事は結構悔やまれるかもしれない。お肉も極上みたいだからだ。
それにしても、結構なお金になったな。当面は大丈夫だろう。
「オーウェン様。このあとお時間はございますでしょうか?」
珍しく、ギルド嬢がそんな事を聞いてきた。エリーゼさんからの呼び出しだろうか?
カルキュラム以外で、思い当たる事は特にないが。
「ああ、まあ?」
「でしたら、ギルド長から、来て欲しいとのご連絡です」
「分かった」
カルキュラムの経過報告だろうか?
にしても、早い気がする。
まだ、オークを倒せるようになったばかり。オークナイトは、シルフやトム、レム、そして今回以外に活躍したフェルと力を合わせてようやくと言った感じだし、オークジェネラルは、奇襲をしてようやくと言った感じだ。
西の森の目標である、Bランクの魔物、ランニングボア討伐まではまだまだ時間を要するだろうと、思っている。
そんなことを考えながらも、ギルド長室に来る。
「失礼します」
「はいよーー!」
ギルド長室に入ると、エリーゼさんと、助手のジェファニーさんの他に、見知らぬ女の人がいた。金髪のロングヘアに、目はエメラルドグリーン。メガネをかけている美人というよりは可愛らしい感じの気弱そうな、エルフの女性。
魔導士のローブを羽織っていることから、魔法使いであることがわかる。しかし、その特徴的なローブ、どこかで見た事があるような……?
「すまんねえ、呼び出して。領主殿」
「あっ……!いえいえ!全然大丈夫です」
そういえば、エリーゼさんって、三賢者の一人で俺よりも全然偉い方なんだよな?
前に魔境へ来た偉そうな領主を追い出したとか言っていたから、貴族なのではないかとは思っていたけれど、まさかそんなに偉い人だとは思っていなかった。
「ん……?どうした?そんなに、緊張して?」
「ああ……、いえ。エリーゼさんが三賢者の一人、神速の大賢者とお聞きして」
「ああ、なるほどねえ。だからと言って、別に態度を変える必要はないよ。ギルドの連中はみんなタメ口さ」
「ああ、そうなんですね。助かります」
正直、どう接していいかわからなかったから、態度を変えなくていいのは助かる。
「ふむ。では、疲れているだろうし、さっそく本題に入ろう」
「はい」
「早速、隣の奴を紹介しよう。こいつは、ロン。訳あって、ここに来た。私の弟子だ」
「ロンです。よ、よ、よろしくお願いしますぅぅぅ!」
「あ、オーウェンです。知っているかと思いますが、ここで領主をしています」
「は、はぃぃぃ!それはそれはよく知っておりますぅぅぅ!」
「……?」
やっぱり、どこかで会ったことがあっただろうか?しかし、随分特徴的な話し方をしている、この人に出会った記憶がない。
会った事あるか?なんて聞くのは、相手に失礼になるし、訳ありっぽいし、聞かない方がいいか。
「では、早速だが、オーウェン殿。こいつとパーティを組んで欲しいんだ」
「え……!?」
パーティ?俺は1人で行動するつもりだったし、考えたことも無かった。既に、シルフもいるし、間に合っているといえば間に合っている。
「お前さんの気持ちも分かる。既に、Aランクの実力者2人とシルフ殿、そして、鞄の中で寝ている、その狼さんはリトルフェンリルかな?既に過剰戦力だろう」
「え、ええ」
「だけどねえ、ちと、実力が離れすぎだと思うんだよ。同じ実力くらいの相手と一緒にパーティを組むのも大切さねえ」
なるほど。確かに言われてみれば、パーティメンバーというよりは護衛に近いか。俺のこの先の戦闘経験ということを真剣に考えてくれての提案だという事が分かる。
「そういうことなら、パーティを組みたいと思います」
「助かるよ。私の弟子だと言うが気にしなくてもいい。好きに使ってくれ」
「よろしくお願いしますぅぅぅ!誠心誠意、頑張りますぅぅぅ!」
「は、はあ?よろしくお願いします」
色々大丈夫だろうか?--と思いながら、その日は、住むところが無いから泊めてくれ、と言ったロンを家へ招くのだった。
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[コメント]
一応、ロンは今作のヒロインです。(乙女ゲームのヒロインはソフィアです。)
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