西の森①

第14話 冒険者ギルドへ報告

-side オーウェン-




 あの後、シルフ達も起きて、一緒にお茶会を楽しんだ後、みんなで冒険者ギルドへ報告に行くことにした。

 貴重な薬草も森の中にはあるから、念の為、早めに報告した方がいいと思ったからだ。精霊達も連れていけば、話の信憑性も増すし、効果はあるのではないかと思う。



 しかし、外見からして、神々しいまでに美しいちびキャラの見た目をした精霊達を連れて歩いていると、流石に、冒険者ギルドに向かう最中も、視線が痛い。

 特にエルフ達は、その場で“ありがたやー”とお祈りしている人もいる。俺に向かって祈られているわけではないが、居心地はあまり良いものとは言えない。さっさと行こう。



 冒険者ギルドに入ると、これまた、注目を浴びた。まあ、それは俺が領主である事を知っている人間が多いからでもあると思うが、背後で建物の立派さに驚いた表情をして、同時にピカピカ光って幸いでいる精霊達も原因である。少しは静かにしてくれ?



「おう、領主!後ろのは……、なんだい?」

「精霊だ」



 通りすがりの冒険者が話しかけてきたので、そう返事をした瞬間、周りの人達は一気にざわついた。



「な、なんだって!?--って、確かにどう見ても精霊だよな……。最近は、報告なかったはずなのだが……」

「うちの家で保護したからここへきた。一応、ギルドマスターに報告したい」

「わ、分かった。すぐに呼んでくる!」



 呼んでくる間、エルフの冒険者達が、集まり騒ぎ出していた。早く仲間に知らせないと!という声も聞こえてくる。



「お待たせしました」



 思ったよりも、早い出迎えだったな。おそらく、ギルド嬢も俺のことを知っている人が多かったのですぐに奥へ通されたのかもしれない。

 しばらくして、急いだ様子でギルドマスターのエリーゼがやってきた。



「オーウェン様!待たせたね。そちらが例の精霊か!」

「そうです。従魔にした事と諸々、ご報告に来ました」

「分かった。話を聞くよ」



 俺は今まで、あったこと、森ができた事やシルフが従魔になった事を簡単に説明する。



「これは間違いなく、エリク草。それもこれだけ沢山……、他にもあるね。なるほど、精霊達がいる事も含めて、話の信憑性は極めて高いね。後で、ギルド職員をそちらの森へ調査に向かわせるが大丈夫かい?」

「ええ。分かりました。--と言っても、うちの敷地内なので、俺が付き添う形になりますが」



 そういうと、エリーゼさんは、少し驚いた様子を見せる。



「あんた。そう言えば執事はいないのかね」

「ええ。追放されましたから」

「そうか……。確かに……、執事がいればお前さんが直接冒険者ギルドに来ることはなく、終わっていたはずか」

「そうですね。俺としては直接来て良かったと思いますけどね。色々な方に出会えたし」

「そうさね。あたしもあんたみたいな領主と出会えて良かったよ。追放されてくれて、よかったねえ」



 和やかな会話に思わず、笑みが溢れる。

 本当に、リオンシュタットへ来て良かった--そう、心から思える。



「執事に関しては後で考えます。今は必要では無いですし」

「そうかい。もしかしたらだけれども、今回の件で、エルフ達はぜひ世話をさせてくれ、といいに来たりしそうだけれどもね」

「そうなったら、そうなったで、その時ですね」

「そうねえ。もし奴らが世話係をって、言ってきたら、良さそうなエルフの執事をこちらで、紹介しようか?」

「おお!かなり助かります。よろしくお願いします」



 エリーゼさんの話はそんな感じで落ち着いた。それから、冒険者ギルドの広場へ戻ると、案の定エルフの集団に捕まりそうだったので、一旦、エリーゼさんを交えて、話し合いをした。その結果、とりあえず、お世話係を2名、うちで雇う事になった。

 後日、エルフのみんなで、精霊祭を開く予定だそうだ。楽しみである。



----------------------------------

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る