第25話 商業の町
この町は活気に溢れていた。
色々な町から人々が集まり、武器や防具、食料や生活用品、その他に色々な物が売買されていた。
「うわぁ!いろんな物がある!!見て見てニーナ、変なお面!」
そう言ってサト子は売り物の奇妙な面を被ってニーナに見せつけていた。
「お客さん、買わないなら売り物で遊ばないでくれよ!」サト子が店員のオッサンに怒られた。
「あー、すいません!」そう言ってサト子は売り物の面を渋々置いた。
ニーナはそんなにこのお面ほしかったの?っと思った。
「おい早く面を取らないか!」オッサンがまだサト子に怒っていた。
「もう取っとるわ!!ニーナ、ノペル、行こっ」
お面屋を離れながらサト子がブツブツぼやいていた。
「んー……、やっぱりお金がないとほしい物も買えないや…」
「そうですね。僕もお金が大分減ってきました。何とか稼がないと宿代も食費も必要ですしね…」
(ってほぼこの旅の費用出してるのあんたじゃないでしょ!!)とサト子は心の中でつっこんだ。
「ニーナごめんね…いつもお金出してもらって…」
「大丈夫…だけどそろそろ私もお金がなくなってきた。」
「本当にごめんねニーナ…」ニーナは何でこんなお金を持っているんだろう?
「サト子さん。サト子さん。」ノペルが何やら耳打ちしてきた。
「なによノペル?」
「あまり気にしなくて大丈夫ですよ。ニーナさんはあまり声色には出してませんが心の中では嬉しいみたいですから」
(あんたまた何言ってんの?)「どうして??」
「オーラで分かります。きっと頼られるのが嬉しいんでしょう。」
「それでもノペルもちょっとは気を使いなさいよ!」
ノペルはほぇ?って感じの顔をした。
本当に時々この男ムカつくわ。
ふと見るとニーナが店の前で商品を見ていた。
「ニーナ、何を見てるの?」
「……これ。」
ニーナが見ていたのは色とりどりの宝石の付いたアクセサリーだった。
「うわぁ!すごい綺麗!」
ニーナを見るとニーナも目を輝かしている。
(こういうのが好きだなんてニーナもやっぱり女の子なんだ……)
値段を見てみると150000グラと書かれていた。
「いち、じゅう、ひゃく……15万グラ!?カッペどんだけ食べれるの?!」
「おぉ、銀髪のお嬢ちゃん!どうだい?いい物だろう?でもちょっとお嬢ちゃんには早いかな?そちらの………そちらの……お嬢…さん?」店主らしき男の人が話しかけてきた。
「はい、お嬢さんです。ちょっと私たちには早いかもねー、ニーナ!諦めて行こっ」
「あ、あ、ちょっと待った。お嬢さん方お金に困っているのかい?」
「いえ、…まあ…」
「それならいい話があるよ!金になる話だ。聞いていくかい?」
「えぇ!?どんな話ですか?」ちょっと怪しいけど……
「それがね……」
「ゼパードさん!この前の話なんだが!」横から妙なおじさんが割り込んできた。
「あぁ、酒屋さん。ちょっと待ってくださいね。丁度いい、今このお二方にも…」
「ゼパード……さん?」
また後ろから声がした。しかし今回は聞き覚えのある声だ。
「あ、ノペル!」
「ノペル……?」
ゼパードと呼ばれた店主は変な顔をした。
「今、ゼパードと聞こえました。あなたは……ゼパードさん?…………………お久しぶりですね。僕が分かりますか?」
「ノペル……まさか。いや、そんなはずはない。本当に……、いや。まさかそんな……本当にノペルか?!」
「やはり……ゼパードさん。やっと見つけましたよ。村で唯一の生き残りのあなたを僕は探していました。」
ゼパードは急に顔が青ざめ震え始めた。
「の……ノペル…、どうしたんだその目は…いや、違うんだ!俺は悪くない!!俺のせいじゃない!!」
そう言ってゼパードは走って行ってしまった。
「あ!待ってください!」
「ノペル待って!どういうこと?!知り合いなの?」サト子がノペルの手を掴んだ。
「えぇ、まあ…」
「ちょっとゼパードさん!………まったくどうしたんだ…」
先程割り込んできた酒屋のおじさんが立ち去ろとした。
「ちょっと待ってください。」ノペルがおじさんを呼び止めた。
「あぁ、なんだね?」
「あの人とどういう関係ですか?」
「ん??いや、この前ゼパードさんに金儲けのいい話があると言われたんだよ。…いや、ちょっと店の景気が悪くてね。最近は魔物が増えたせいか客の入りが悪くてね、景気がいいのは武器屋か防具屋だよ!みんな酒飲んで嫌なことなんて忘れたらいいのにな!ハッハッハッ!俺なんて嫌なことだらけだから昼間から飲んでるよ!ハッハッ!最近は女房にも…」
「そんな話は入りません。ゼパードさんとの話を詳しく教えてください。」
酒屋のおじさんは見るからにしゅんっとした。
「う、うん。詳しい話はまだ何も聞いてないんだが、何でもこの町の北に小屋があるらしいんだ。そこで詳しい話を聞かせてくれると言っていたんだ。それ以外は俺にもわからん…。しかしゼパードさんの話に乗った人は何人も金を手にしてこの町を出て幸せに暮らしていると聞いてるよ」
「何人も…」
「ノペル…やっぱり何か怪しい話だったのかな?」
サト子が聞いてみた。
「恐らく何か裏がありそうですね…。とにかく僕にはあの人に用があるので追います。」
「わかった。私たちも行こう、ニーナ。」
「ま、まってくれ!君は俺の女房の話を聞いてくれるか?!」そう言っておじさんはニーナの手を取った。
「……いえ、結構です。」
おじさんはしゅんっとした。
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