顔面モンスターな私が異世界に行ってなんやかんやする話
D.
第1話 顔面モンスター
————私は自分に自信がなかった。
勉強も苦手だし運動も得意ではなかった。何よりも一番自信がないのは顔だ。小学生の頃は気にしてなかったが周りからは妖怪などと呼ばれていた。
中学になりあだ名が化け物などと呼ばれ初めてから自分は本当にブスなのだと自覚した。
母親からも可愛いと言われたことはない。
弟もいるがなぜか弟は可愛らしい顔をしていた。両親の顔のいいとこはすべて弟がもっていってしまったのか。
そんな私は暗く卑屈な学生生活を送ると思いきや中学のクラスで一緒になったミカのおかげでそれまで虐められもせず楽しい学生生活を送っていたのだ。
ミカは私と違い、見た目も綺麗で性格もよく、クラスの人気者だった。そんなミカがなぜ私と仲良くしてくれているのかは私にはわからなかった。
高校生になり、入学式で一目惚れしたヒカル君(名前からしてもイケメン!)に出会ってからはいっそう充実した毎日を送っていた。
自分の顔がブスなのを知っていて自信がなかった私はヒカル君が好きなことを周りに言うこともなく、ミカにさえ黙っていた。
そんなミカは私の気持ちに気づいていたのかヒカル君と私を話させようとしたり、わざとヒカル君の近くにいてたわいもない話しをしてくれるようになっていた。(ミカって本当にいい奴!)
ある日私は気持ちが押さえられなくなり、ヒカル君に告白したのだ。
案の定というかやはり見事玉砕し、私は雨の降る中映画のワンシーンのように走って帰った。
……………はずだった。
それが最後の記憶。
しかし目覚めると自分の部屋ではなく見覚えのない質素な部屋にいた。
一瞬夢かと思いつつ周りを見回すと目の前の椅子に老人が腰掛けているのに気付き、声を上げたのだ。
「ぎゃぁぁぁぁ!!痴漢!?」
「ぬぉわぁぁぁぁ!!ち、痴漢!?」老人も私の声に驚き目を飛び出して驚いていた。
「……ゴホッ。誰が痴漢だ。お前、ずっと眠っていたが大丈夫か?」老人が落ち着きを取り戻し聞いてきた。
私は老人の絶叫で逆に落ち着き聞いてみた。
「あの……誰ですか?ここはどこ?ずっと眠ってたってどういうことですか……?」
「うむ。とりあえず水でも飲むがよい。」そう言って老人は水が入った水垢まみれのグラスを差し出してきた。
私は喉がものすごく乾いているのに気づいて一気に飲み干した。
「……はぁ、ありがとぉぅん」つい、いつもミカとのノリでやってる萌え声を披露してしまい場の空気が一瞬冷えた。
「…では順に話そうか。それより腹は減ってないか?」
私はお腹がペコペコなのを気づいたが見ず知らずの老人に食事をもらうのも気を引けたため、首を横にふった。
「よし、では初めから。お前は森で寝ていたのでワシが拾ってきた」
「…森!?え、森!?」私は食事を断ったことに後悔していた。
「うん。森。」
「ここ東京ですよね!?森!?」
グゥー。
「トーキョー…?はて?ここはシッドウーヤの森だよ?」
私は空腹で頭がおかしくなったのか。森?シッドウーヤ?はい?
いや、夢?もしくは老人がボケてらっしゃるのか。
「えーと…おじいさんご家族は……」
「誰がじじいだ!ワシはまだ50代だ!」
「ごめんなさい!」
老人の見た目は白髪だらけでシワも多く勘違いしてしまった。とても苦労したんだなと思うようにした。グゥー。
「それとワシはおじいさんじゃなく、[アイザック]という名だ。」
「ニュートン!?」
「にゅ……何??」
「いや、なんでも……」ますますこのじじいが心配になってきた。
グゥー。
とにかくここがどこなのか外を見てみよう。はたしてこのアイザックという人が外に出してくれるかどうか……
「あの…アイザックさん、外を見せていただいてもよろしかったでしょうか?」
「うむ。信じられないなら自分の目で見てみるがよい。」
あっさりいけた。
私はベッドから降りて改めて部屋を見回してみた。部屋には中央に机があり、その横の椅子にアイザックと名乗る怪しい人物。
その後ろに皿やコップなど入っている棚があって、その横が炊事場になっているようだ。
奥には本棚などもあり家具などはすべて木でできているようだ。
何か時代錯誤というか……昔の海外のアニメによくありそうな…
あ!!
私はスマホの存在を思い出した。
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