第四章 イタリア・ローマ
第30話 ローマの休日1
2か月ぶりにスキーから放れた。スイスからイタリア・ローマにやってきた。乗車のミスを一つやってしまった。
ミラノ→ローマの列車は全てTEE(一等車のみの国際列車)であった。車内で車掌からの指摘で気が付いたのであるが、2重に払う事になった。差額分だけでよいのではないかと思い抗議をしようとしたが相手は英語を話さない。
(今思えば、かってフランスで紙に書いて釣銭ごまかしを阻止したように抗議すれば良かったのであるが、明らかなごまかしと違って自分のミスである引け目があり、消極的だったようだ。)
ツェルマットのユースホステルで会った藤本君に紹介されていたゲストハウスに落ち着いた。ここの女将は40代ぐらいで割とぐうたらしていて、18歳の娘に宿泊管理は任しているようだ。その娘は英語を話すので、スイスで会った日本人男子にここを紹介された事を話したら、少し考えてからその人の事は憶えていると言っていた。
彼女には妹が2人いるようだ。下の妹は6~7歳に見える。母親は無口で不愛想だが、長女、三女はなかなかしっかりしている。相部屋で落ち着かないが、取り敢えず3泊する事にした。
18歳の長女はかなり美人で気が強そうだ。英語でいろいろと説明してくれたが少し解り難かったので、
”Your English is difficult .”
と言ったら、即座に
”My English is good. Your don't know English."
と返ってきた。しかも、激しい口調で。
更に、
”You should study Words."
と続いた。
18歳の娘っ子にこれだけ英語力をけなされたのは初めてである。却ってすっきりした。性格は可愛くないが、大人の宿泊客に対してこれだけはっきり抗議できるのは大したもので好感がもてる。流石、イタリア娘。
下の妹も6~7歳の子供とは思えない、しっかり者のようだ。数日後の夕刻、街巡りから帰ったらニコニコ笑顔で私を情報掲示板の前に案内してくれた。そこにはゴリラの写真が貼られていた。その写真を指差し、
”トゥ!”
恐らく、イタリア語で、”You” の意味だろうと察しがつく。
このガキッ! と思いすぐ
”No. You!"
”トゥ!”
その後、別の写真を指差し、
”ミー”
英語のmeと同じ意味であろう。
その写真はセクシーポーズのマリリン・モンローだった。
この子なら20年後には似たような感じになるかもとも思ったが、本人の為を思い
”No. "
改めて、ゴリラを指差し、
"You."
このような面白いやりとりを6~7歳の遇って間もない女児とローマで交わすとは!
ローマ巡りの第1日目。
大都会に物乞いが多いのは理解できるが、それにしてもローマは多すぎるようだ。早速母子にせがまれて500リラをあげたが、本当の親子かどうか?子連れの女物乞いが特に多いように思う。まさか物乞いの為に近所の子供を利用しているのではあるまいな⁉
(疑いたくはないが、この疑問は今でも消えない)
朝食後、早々にパキスタン航空で帰国便の予約再確認を済ませた。後はゆっくり”ローマの休日”を楽しもう。
ガイドブック片手にピンチョの丘経由でスペイン広場に行ってみる。”ローマの休日”のアン王女になった気分でスペイン階段をゆっくり上り下り。流石にアイスクリームを買う勇気はない。
大勢の若者が戯れている。日本人もかなり多い。階段下の通りもなかなか良い感じだ。
昼食はすぐ近くの日本レストラン”日本屋”で久しぶりの日本食を味わった。割合、安くて美味しい。夕食は前日ゲストハウスの長女に紹介されたイタリアレストランで食べた。イタリア風ワンタンメンはグーだった。
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