第7話 ベルギー(フランダース)

 ブルージュにやって来た。観光案内所を探しているとき知り合ったオランダの親切なおばさんに市街地図を頂き良いホテルに落ち着いた。ダブルベッドの部屋で有料のバスがあり久し振りにゆっくりと湯に浸かる事ができた。鐘楼から眺めるフランダース平原の景観に期待していたが、残念ながら曇天で期待外れ。その後、ホテルで貰った地図を片手に街を散策してみたところ、街並みは素晴らしい。道路は殆ど石が敷き詰められており、中世そのままの家々がどこまでも続く。運河は水はさほどきれいではないが、アムステルダムと違ってゴミは殆ど浮いてはいない。心の休まる良い街だ。

 昼食に食べたチキンは実に美味しかった。逆に夕食はホテル兼営のレストランでオムレツを食べたがあまり美味しくなかった。

 翌日は、2つの博物館とノートルダム教会を訪ねてみた。この教会は今まで立ち寄ったどの教会よりも古さを感じた。絵画も彫刻も素晴らしく、古さに貫録がある。その後、街中を歩いて周った。風車は運河沿いに3基ばかり建っていたがキンデルダイクのと比べるのは無理があり、迫力不足は否めない。

 昨日食べたチキンが美味しかったので、再び同じレストランでチキンをオーダーしたがなかなか上がってこない。店主らしきオッサンは知り合いのオッサン仲間と世間話に興じている。堪り兼ねて催促しようとしたら…。チェックと間違えたようだ。つまりこちらのチキンのオーダーは通っていなかった。彼は必死になって弁解していた。もはや再オーダーする気にはなれず、諦めた。後で振り返るに、自分の発音も悪かったのであろう。冷静になって再度、オーダーすべきだった。


 日本では、”カリギュラ” という洋画が注目されていた。この映画はアメりカ、イタリアの合作でローマ帝国・皇帝カリギュラの暴君ぶりを描いた歴史大作であるが、実際のところ超ハード・ポルノ映画で、日本で上映されれば修正だらけになると思われる。観賞した日本人観光客の感想を日本で聞いていたが、”すごい、すごい” を連発していた。

 で、観終わっての自分の感想としては、英語、イタリア語ともあまりよく解らない所為もあるとは思うが、さほど面白いとは思わなかった。ただラストに近いシーンでカリギュラが妹兼愛人(映画を観賞した時は最愛の姉だと思っていた)の死を嘆きながら、全裸のまま引きずって行く正面からの無修正シーンは見応え十分だった。この女優さんがかなりの美形だから価値がある。日本では絶対に観られないものが観られたのはラッキーだと思う。意外だったのは日本なら超満員になるはずが、ここではガラガラだった。


 翌日は駅で自転車を借りフランダースの田舎にサイクリングしてみた。目的地のリッスウェッグはブルージュからどのくらい離れているのか知らないで出発。意外と近くで10km、小1時間で到着した。

 現地の資料で知った小さな町、確かに絵のような町である。教会があり、周囲にキリスト教徒のお墓があり、半分ぐらいのお墓には写真も埋め込まれている。

 レストランを探していると町から離れて行き、田園の中に小径を見つけたので進んでみた。フランダースの田園の中のサイクリングである。乳牛、羊、豚、鶏がのんびりと草を食んでいる。やがて着いた町はゼーブルージュという北海に面した町だった。残念ながら、風邪の精で潮の香りが味わえない。

 昼食後、適当に街中を走っていたら再び海岸に出たので小高い丘に上ってみた。北海が見渡せ、反対方面に眼をやると平原が見事に広がっている。池あり川あり、田畑には乳牛の群れ。フランダースの雄大な眺めだ。先ずは満足の1日でした。

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