本作のテーマ

今回も、作品を執筆するにあたって、特に盛り込んでもらいたい点をあげたいと思います。

 あらすじの自由解釈・拡大が本イベントの魅力でもあるのですが、「筆致」を見るという意味で、共通のポイントが必要だと感じたからです。


(なお本編の項目は「上級者向け」です。幾度か本イベントにご参加頂いていたり、どうせならとことんこだわってみたい人向けで、企画に参加するにあたって必ずしも意識しなくてはいけないということではありません。作品内容によっては無視しても良いと思います。むしろ意識することで断念するくらいなら、ご放念くださいませ)



■テーマ①:心残りとその払拭

 今回の作品の心理面でのテーマは、「心残りとその払拭」です。

 ナツは何からの理由で日本を離れなければならず、後ろ髪を引く存在がハルということになります。

 心残り部分ですが、なぜそうなるのか、その思いを抱えながら生きていたのか、忘れていたのか、そもそもその理由は――などが、幼馴染ハルとナツとの関係性やエピソードを描く上でポイントとなるのかと思います。

 払拭部分ですが、新しいスタートを切るにあたって、心残りは無くしておきたいものです。ナツは、どんな風に、心の整理をつけるのでしょうか。

 季節柄、新入生や新社会人が多い今だからこそ、共感、教えになるものだとより読者の心に響くのではないでしょうか。


■テーマ②:季節と名前

 技法的なテーマとしまして、季節と名前があります。

 登場人物二名のハルとナツは、そのまま春、夏にかかっていて、作品名にも春が登場します。

 記述トリックにも用いられるテクニックではあると思うのですが、しばしば、読者の理解を難解にする要素であったりもします。

 このあたりをどう整理し、魅せてくるか。これも筆致だと思います。


■テーマ③:あの桜

 今回の情景描写対象は「身長を比べあった桜の木」です。

 幼少期に目にする風景と、そうでない時に見る風景は、目線の高さが異なることや感性の成熟もあって、異なって見えたりすることもあります。一方で、「変わらない景色」というように、普遍的であることもあるでしょう。

 ナツがここに訪れるのは少なくとも数年は経っており、懐かしい場所であるでしょう。

 また季節的に、春の終わり、夏の始まりという、一般的に桜が描かれる時期とは異なる点もポイントです。


■テーマ④:主要人物の関係性と人間性

 今回の主要人物の関係性は再び「幼馴染」です。

 身長を二人で桜に刻む、とは現代の子供ではあまりない風習だと思います。それゆえに、ノスタルジックであるともいえます。またその行為から、二人の距離感が伺い知れると思われます。

 それを、ナツは過去に、そして今、どう感じるか、がナツの人物像を掘り下げる上でポイントとなるかもしれません。




 以上がテーマとなります。執筆のご参考に下さいませ。

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