第238話 至高の芸術
シルファさんは俯いてずっと指先を動かしている。どうするか悩んでいるのか? それとも覚悟が付かないのか?
「これ以上は時間の無駄ですね。俺は眠いんでもう帰ってもらえます? 俺に
俺の強調した部分を改めて理解したのだろう。俯いたまま立ち上がるシルファさん。服に手を伸ばそうとした瞬間に俺が聞こえるようにつぶやく。
「そういえば俺は女性が服をゆっくり脱いでいくのが好きだなぁ。いろいろと想像を巡らせる事ができるから。そういう心配りが人間関係には大事なのかもな。特に信頼関係が無い状態だと」
シルファさんは俺の意をしっかりと認識したようだ。ゆっくりと、そして優雅に服を脱いでいく。これは良い見せ物だよ。
大浴場でシルファさんの全裸は見ている。しかし着衣状態から一枚一枚脱いでいくのは違った趣きがあるよな。
時間をかけて全裸になったシルファさんは床に正座になった。
まさに完全な土下座だ。背中越しに綺麗なお尻が見えている。シルファさんはなかなかけしからんお尻をお持ちだ。この角度から見るお尻も乙よのぉ。
「誠に申し訳ございませんでした。この度のことは全て私の至らなさが原因です。どうかジョージ様の寛大な御心で私をお許しください」
美女の裸土下座に丁寧な謝罪。なかなか濃い属性が混ざっている。しかし真剣な場に阿呆らしい要素が欠けているんだよ。阿呆らしければ阿呆らしい程、真剣な場との
「なるほど、それがシルファさんの精一杯の謝罪ですか。まずは残念です。取り敢えず貴女から謝罪があった事は覚えておきましょう。それを受け入れるかどうかはわかりませんが」
「さ、流石に猫の真似をして謝罪を強要するなんてふざけているし、馬鹿にしている。ジョージ様は私を
身体を起こして抗議するシルファさん。あら胸の先がプルプル震えているよ。
「謝罪の強要などしてないですよ。あくまで俺は俺の心に響く謝罪方法を教えてあげたまでです。するかしないかはシルファさん次第ですから。そして貴女はしない事を選択した。これのどこが強制ですか? また貴女を蔑むつもりは全くありませんね。ただ、私は独身時代の妄想が実現したら嬉しいだけです。単に貴女に私を喜ばす方法を教えただけよ」
まだプルプルしている桃色突起。これはこれで見ていて飽きない。
プルプルプルプルプルプルプルプル。
堪らんのぉ。
あら、プルプルが止まった。
どうやらシルファさんは大きく深呼吸をしたようだ。見ていたお胸が広がったからね。
シルファさんはもう一度姿勢を正し、綺麗な全裸正座の体勢になる。そしてゆっくりと両手拳を頭の上に持っていく。
「ジョージ様、いやご主人様。どうか馬鹿な事をした私を許して欲しいニャン!」
そう言いながら首を傾げるシルファさん……。
ま、まさに至高の芸術!
これ以上の謝罪はこの世にあるのか? いや歴史上の記録にも無いだろう。それほどまでにこの謝罪は完璧過ぎる。
真剣な謝罪の場。そしてこれ以上無い阿呆らしい猫の真似。全裸正座と相まって切なさを醸し出している。この切なさはどんな演出家の大家でも実現不可能だろう。
それでもやはり最大のスパイスは俺の良く知っているサイファ魔導団長が頭に思い浮かぶ事か。あの分厚い扉のプレッシャーの主であるサイファ魔導団長。その主が全裸正座で猫の真似をして俺に謝罪をしてくる。興奮で震えるわ。
そしてシルファさんが土壇場で化けやがった。ご主人様と言い直し、語尾にニャン!を付ける機転。そして小首を傾げるあざとさ。上目遣いで甘えた感じも完璧だ。若干の恥ずかしさも忘れていない。
あぁー! 良いものを見れたよ。心の日記に記録しないとな。
あ、仕上げを忘れるとこだったわ。
俺はルードさん直伝の貴族の顔を作り、澄ました顔でシルファさんに近づいた。手を下ろそうとするシルファさんに鋭く声を上げる。
「そのまま動くな! 猫耳の状態でいろ!」
俺の言葉に慌てて両拳を頭の上に移動させるシルファさん。
そして俺は猫耳状態を維持しながら全裸正座をしているシルファさんの前でしゃがみ、右手の親指と人差し指でシルファさんの左胸の突起を
シルファさんはビクっとなりながらも俺の動くなという命令を健気にも守っている。
俺は澄ました顔でプニプニと突起を
プニプニ、プニプニ、プニプニ、プニプニ……。
俺は突起を弄くりながら、低い声でシルファに語りかける。
「いいか、よく聞け。俺は基本的に平和主義者だ。争い事は極力避ける事にしている。しかし俺を攻撃してくる奴や、俺の幸せを壊そうとする奴には容赦はしない」
シルファさんは気丈な顔をしながらも、涙をこぼしそうな雰囲気も感じる。
「砦の前の攻撃はジョージ様に対するものではありませんでした。そのような事はいたしておりません。どうかもう許してください……」
プニプニ、プニプニ、プニプニ、プニプニ……。
「砦の戦闘についてはライドさんを捕縛するためと理解している。その後の話だ。俺に【魅惑の蜜】を仕掛けたな?」
「そ、そのようなつもりはありませんでした。確かにジョージ様がエンヴァラの民である我々の誰かに夢中になれば嬉しいですが、それを選択するのはジョージ様です。こちらは誠心誠意ジョージ様を歓待させていただきました。エルフの女性に歓待されて喜ばない男性はいないと思いますが」
気丈な顔が壊れかけているな。もう少しだ。
プニプニ、プニプニ、プニプニ、クリクリ……。
こちらも準備完了だな。
「確かにお前らはエルフは容姿が整っている。性的魅力に溢れているよ。普通の男性ならエルフに好意を寄せられればエルフを選ぶだろう。例え既婚者でもな。ただそれはお前らの驕りだよ。上には上がいるって事を覚えておけ」
怒り、焦り、困惑、羞恥、恐怖、後悔。シルファさんはいろんな感情で頭がグチャグチャだろうな。そして最後に与える感情が準備万端だ。最高の心の傷をプレンゼントしてやるよ。
クリクリ、クリクリ、クリクリ、クリクリ……。
「その女性は俺の最愛の人であるスミレ・グラコートだ。全てにおいてお前らを上回っている。比べる事自体間違っているよ。そのスミレが悲しむ可能性がある事は俺が全力で排除する。悪いが俺を誘惑する行為はグラコート伯爵家に対する攻撃と捉えさせてもらう」
俺はシルファさんの硬くなった先端の突起を捻りあげる。痛みが走ったのか眉を寄せるシルファさん。
「シルファ、痛みと共に脳裏に刻み込んでおけ。グラコート伯爵家の家訓だ。【舐める奴等には万死を与えよ!】」
俺は更に指先に力を入れ、限界まで先端の突起を捻りあげた。
「ひっ!」
軽く悲鳴を上げるシルファさん。身体も小刻みに震え出した。それでも俺を恐れてか猫耳状態を崩さない。
「今回は俺が相手で良かったな。これがスミレだったら問答無用で腕を切り落とされていたぞ。幸せになりたいのならグラコート伯爵家家訓を
シルファさんの頬を涙が伝う。
そしてシルファさんは静かに頷いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その後シルファさんは放心した顔で部屋を出ていった。全裸で……。
俺がやった事だが、大丈夫かな?
少し経つと別のエルフの女性がやってきて俺の部屋変える事を提案した。俺はその提案をすぐに受け入れた。シルファさんが正座していた場所が濡れてしまっていたから。
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