第三十三篇 テーマ「鳥人間コンテスト」 ジャンル「現代ドラマ」

 彼は一歩踏み出すたびに周りから注目された。

 鳥人間コンテスト。

 その名前だけでも人々を魅了する。

 彼もその中の一人だった。


 彼は毎日、空高く飛ぶために練習していた。

 日差しの強い中、翼を広げて走っていく。

 風を読み取り、体勢を調整し、いざ!

 彼は空に飛び立った。


 人々は彼に歓声を送る。

 彼の翼は美しく羽ばたき、風を切っていく。

 だが、彼が進む先には大きな壁があった。

 彼は気づかないうちに、壁に向かって飛んできていた。

 周りの人々は彼に注意を促すが、彼は聞く耳を持たなかった。


 彼は壁に激突し、地面に落下していく。

 周りの人々は救急車を呼び、彼を病院に搬送する。

 彼は全身に重傷を負い、手術が必要だった。

 そして、手術は成功した。


 彼はその後、再び鳥人間コンテストに参加することはなかった。

 彼は空を自由自在に飛ぶことができること、羽ばたきが美しいこと、人々に応援されることをきっかけに身を置いていた。


 彼は空に飛ぶことを諦めたわけではなかった。

 彼は今まで以上に練習を重ね、新しい翼を手に入れていた。

 そして、ある日、彼は公園で翼を広げた。

 彼は時折羽ばたきをしては、空を見上げていた。


 人々は彼を応援に駆け寄り、彼は笑顔で振り返った。

 彼は鳥人間コンテストには参加していなかった。

 彼はただ、空を飛ぶことが好きで、翼を広げることが幸せだったのだ。

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