第十二篇 テーマ「88歳」ジャンル「ラブコメ」

「あーあ、88歳にもなって、私こんなことで悩んでるわ」と、大声でため息をついてしまった。そんな風に、私は自分で自分を責めてしまっていた。


なぜなら、私はラブコメを読んでしまって、夢中になってしまったからだ。そんなこと、88歳にもなってできなくていいのに、と思いながらも、ついつい手に取ってしまう。


でも、今日はちょっと違った。私が最近、よく読むようになった作家の最新作が、なんと私自身を主人公にしたラブコメだったのだ。


「まさか、私が…」と興奮していたところ、いつもの悪い癖が出てしまった。私は本を手放しながら、喜びを叫んでしまったのだ。


そんな私を、今、隣で見つめているのは、隣人の伊藤さんだ。隣人といっても、私は引っ越してからまだ2ヶ月しか経っていない。まだまだ、伊藤さんとの距離は遠いと思っていた。


でも、この先のことはわからない。私たちの出会いも、まさかのラブコメのように始まったのだ。私の嬉しそうな顔を見て、伊藤さんは微笑む。


「そんなに楽しんでるんだったら、僕も読んでみようかな」と言って、伊藤さんは私の隣に座った。


そして、私たちは同じ本を読み始めた。しばらくは静かだったが、伊藤さんが突然、私に話しかけてきた。


「あのさ、お互いに88歳まで生きてきたってことは、いろいろな経験があるわけだよね」


そう言って、伊藤さんは私に向かって微笑んだ。私は、彼が何を言いたいのかわからず、戸惑ってしまった。


「えっと、そうだよね」と、私は答えた。


「だから、もう遠慮する必要はないと思うんだ。好きなものは好きって言えばいいし、自分で楽しめることは、自分で楽しめばいいんだ」


まるで、私の内心を読み取っているような、伊藤さんの言葉に、私は一瞬で心を打たれた。


「そうだよね。私、自分で楽しむことを、忘れてたんだ」と、私はうなずいた。


そして、私たちは笑顔で、同じ本を読み続けた。その後も、私たちはたくさんの時間を共に過ごすようになった。


私たちは、お互いに遠慮なく気持ちを伝え合い、自分で楽しめることを堂々とやるようになった。


そして、私たちはこの先、どんなことがあっても、お互いの手を取り合って、一緒に歩んでいくことを、誓い合ったのだった。


それが、私たちのラブコメの始まりだった。

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