一日目「ZFC公理を学んだけど、目的が達成できなかった話Mk-I」

まずはじめに、数学は大体のものは集合を使うと表現できるということを書いておこう(集合を発展させたものも集合を知っていると理解しやすくなる)。つまり、集合がわかれば、数学の大体のものは理解できるということだ。逆に集合がわからないと、数学のことを完全に学べたとは言いがたい(と思っている)。

歴史的には、集合はゲオルグ・カントールによって始められたものであり、カントールの集合論(以下S)は、いくつかのパラドクス(矛盾)を内包していた。有名なものとしては、ラッセルのパラドクスやブラリ=フォルティのパラドクスがあげられるだろう(Wikipedia参照)。しかし、Sは矛盾を内包している(実際、ラッセルのパラドクスは内包公理という公理から求められる。)が、抽象化をするのにとても便利であったので、なんとかこのアイディアを生かしたいと先人たちが奔走した結果、パラドクスが今のところ起きないような集合の定義ができた。これをZFC公理という。ZFC公理のほかにも、様々な公理があるが、それは置いておく。(とりあえずは、ZFC公理だけ勉強していればなんとかなるとかいう甘っちょろい考え方を持っておこう)


ZFC公理の構成についてまず知っておこう。ZFC公理は、ZFとCという2つに分けられる。ZFというのは、9つの公理をまとめたもので、ZermeloとFraenkelという2人の数学者の頭文字をとったものである。Cというのは、Axiom of Choice(選択公理)のことである。Cは主張自体は当たり前に見える割に、奇妙な主張を導けるので、結構な論争を呼んだ。

また、最初はZermeloが7つの公理を構成していたが、より強力な理論とするために、Fraenkelがもう1つある公理を追加した。そこにさらにジョン・フォン・ノイマンが1つ公理を追加した。


ZF公理

・外延性公理

∀x∀y[∀z[z∈x⇄z∈y]→x=y]]

・空集合の公理

∃x∀y[y∉x]

・非順序対の公理

∀x∀y∃z∀w[w∈z⇄w=x∨w=y]

・和集合の公理

∀x∃y∀z[z∈y⇄∃w[z∈w∧w∈x]]

・冪集合の公理

∀x∃y∀z[z∈y⇄z⊆x]

・Zermeloの分出公理

xとt=(t_1,t_2……,t_n)を自由変項としてもつ任意の論理式φ(x,t)に対して、∀x∀t∃y∀z[z∈y⇄z∈x∧φ(z,t)]

・Fraenkelの置換公理

φ(x,y,t)が関数論理式であるとする。∀t[∀x∃y∀z[z∈y⇄∃w[w∈x∧φ(w,z,t)]]]

・無限公理

∃x[0∈x∧∀y[y∈x→y∪{y}∈x]]

・正則性公理

∀x[x≠0→∃y[y∈x∧y∩x=0]]


Mk-IIではこれらの行間を補完したい(……できるかな?)

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