第14話 受付の仕事と、ビュートと、グラフ魔法

「こちらの依頼は、常時依頼となっております。依頼が終わったら死骸を解体場まで持って行って、受取証を貰ってください。それをギルドの受付に提出したら依頼は完了です」

「分かったぜ」


 3日ほどの研修で、なんとか受付嬢はやれている。

 やってて思ったのはパソコンがあったら、手続きの大半はする必要がないのにだった。


「次の方」

「これだ。よろしく頼む」

「こちらの依頼は討伐依頼です。証拠となる部位の大牙は絶対にお持ち帰り下さい。でないと討伐したという証になりません。死骸の他の部位は好きにしてもらって構いません。運ぶのがめんどくさければ打ち捨ててもです」

「おう、大牙な。わかったぜ」


 討伐依頼の台帳に今受注した冒険者の名前と日付を書く。

 討伐確認の調査員の予定も入れておく。

 本当にめんどくさい。

 パソコンがあればと思わないでもない。


「ニーナ、不満気だな」


 ビュートが依頼票を差し出した。


「ビュート、不満じゃないのよ不便だなと思っただけ」

「どう違うの」


 生活依頼の台帳にビュートの名前と日付を書き込む。


「不便は解消できる」

「計算を出来るようにしたようにか。足し算の魔道具は重宝しているよ。感謝している」

「ビュート、暮らしはどう?」

「楽じゃないけどなんとかやれている。パーティの遠征に連れて行ってもらえるようにするのが目標だよ」

「剣と鎧は高いものね」

「なんであんなに高いんだろうな」

「職人の一品物は高いのよ」

「閃光魔道具は金貨1枚だったっけ。そのうち持って来るよ」

「無理しないでね」

「おう。それじゃまた」


 ビュートがそう言って去っていった。

 さて、バンバン稼がないと。

 魔道具は売れている。

 1日銀貨22枚ずつ村に入るから、318日で、借金がなくなる計算。


 返済を短縮するために、前に考えたグラフの魔道具を作ろうかな。


 冒険者さんが途切れるのを見て、プログラムを少しずつ作る。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

extern void line(int x1,int y1,int x2,int y2);

extern void vertical_text(int x,int y,char *str);

extern void horizontal_text_int(int x,int y,int scale);

extern void horizontal_text(int x,int y,char *str);


void bar_graph(int x,int height)

{

 line(x,980,x,980-height); /*棒グラフ*/

 line(x+20,980,x+20,980-height); /*棒グラフ*/

 line(x,980-height,x,980-height); /*棒グラフ*/

}

void main(int argc,char *argv[])

{

 int i,j,max; /*カウンターと最大値*/

 int scale,item[25]; /*目盛りと各項目の数値*/

 float scale_f; /*スケール*/


 if(argc<5) return; /*設定数が足りないのでグラフ無し*/

 if(argc%2==0) return; /*ペアになってないので入力エラー*/


 line(30,20,30,980); /*縦軸*/

 line(30,980,990,980); /*横軸*/


 vertical_text(10,450,argv[1]); /*縦軸の名前*/


 max=0;

 for(i=0;i<(argc-3)/2;i++){ /*入力された数だけループする*/

  item[i]=atoi(argv[i*2+3+1]); /*項目の代入*/

  if(item[i]>max) max=item[i]; /*最大値を求める*/

 }


 scale=atoi(argv[2]); /*目盛り*/

 i=((max/scale)+1)*scale; /*目盛り最大値*/

 scale_f=960.0/(float)i; /*スケールを求める*/

 for(i=0;i<max;i=i+scale){ /*目盛りの数だけループ*/

  j=(int)((float)i*(float)scale*scale_f)+20; /*目盛り位置計算*/

  line(25,j,30,j); /*目盛りを書く*/

  horizontal_text_int(20,j,i*scale); /*目盛り数字*/

 }


 for(i=0;i<(argc-3)/2;i++){ /*入力された数だけループする*/

  horizontal_text(i*20+50,990,argv[i*2+3]); /*横書きに項目名*/

  j=(int)((float)item[i]*scale_f); /*棒グラフの高さを求める*/

  bar_graph(i*40+50,j); /*棒グラフを書く*/

 }

}


 棒グラフを書く魔法が出来た。

 週末は村に帰らないとね。

 貴族の文官さんは気に入ってくれるかな。

 きっと評判になるわよ。

 表計算のグラフ機能は好評だったから。

 さっきのプログラムは原始的だけど、バージョンアップは何度しても良い。

 時間ならたっぷりある。

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