第7話 マイナスの処理と、フラッシュと、ゴブリン退治

 さてと、今日もお客さんを待つ間にプログラムしましょうか。

 今日はマイナス記号の処理よ。


 for(i=0;i<j;i++){ /*項目の数だけループ*/

  if(item[i]==999999992){ /*マイナス記号か調べる*/

   if(i+1==j) /*マイナスで終わっている*/

    return(-1); /*エラー終了*/

   else{

    if(item[i+1]<999999990){ /*マイナスの後が数字*/

     item[i+1]=item[i+1]*-1; /*数字なら数値を反転させる*/

     item[i]=999999990; /*処理をしたのでマイナス記号を取る*/

    }

    else /*マイナスの後が記号*/

     return(-1); /*エラー終了*/

   }

  }

 }


 for(i=0;i<j-1;i++){ /*項目の数だけループ*/

  if(item[i]>=999999991 && item[i+1]>=999999991) /*記号が続く*/

   return(-1); /*エラー終了*/

   /*エラー処理*/

 }


 今日のプログラムタイムは終り。

 そういきたいところだけど、ビュートの武器を作らないと。


extern MAGIC *flash(int lux);

extern void baked_paint(MAGIC *mp);

extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=flash(80000); /*フラッシュ*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 こんな感じでどうかな。


「ニーナ、武器を作ってくれた?」

「いまできたところ。いい、魔道具を起動する時は目を開けたら駄目よ。目を潰す武器だから」

「おっかない。魔女が作った道具みたい」


 魔女という言葉にぎくりとさせられる。


「違うわ。強烈な光よ。灯りの魔道具あるでしょ。あれを強力にした物なの。とにかく実地訓練よ」


 私とビュートはゴブリンがよく出没する畑にやってきた。


「最初は私がやってみせるわ。数を3から減らして0で魔道具を起動させて光が出るから、1ぐらいで目を瞑るのよ」

「分かった」


 ゴブリンを待っているとグギャクギャ鳴く声がした。

 どうやら来たようね。


 ゴブリンは私達を見ると歯を剥いて威嚇した。

 子供だと思って舐めているみたい。

 確かに身長はゴブリンとさほど変わらない。


「3、2、1、0」


 目を瞑っていても圧倒的な光に目がくらんだ。


「グギャー」


 ゴブリンは目をしきりにこすっている。


「たぁ」


 ビュートが棍棒をゴブリンに振り下ろした。

 鈍い音がしてゴブリンが昏倒。

 やっつけたみたい。


「どう、俺って恰好良い」

「油断していると酷い目に遭うわよ」

「この魔道具さえあればゴブリンは楽勝だ。次は俺にやらせてよ」


「いい。言われた通りカウントしてやるのよ」

「分かっているよ。心配性なんだから」


 倒したゴブリンからナイフで魔石を掘り出し、死骸を農家の人に渡す。

 考えたくはないけど、肥料にするらしい。


 次のゴブリンは2匹だった。

 大丈夫かな。

 逃げようかな。


 ビュートはやる気満々だ。


「3、2、1、0」


 フラッシュの魔法で目蓋越しに光が見えた。

 目を開けると、ビュートがゴブリンに襲い掛かるところだった。

 ゴツンと棍棒で殴られるゴブリン。


 残った1匹はまだ目をこすっている。

 ゴブリンが回復するよりビュートが攻撃する方が早かった。


 戦いは嫌。

 知っている人が死ぬのも嫌だけど、知らない人が死ぬのも嫌。

 ゴブリンでも可哀想な感じがする。


 これ以上、見ていたくない。


「もう行くね。男の子たちを集めて狩りをするといいよ」

「魔道具、ありがとな。この恩は一生忘れない」


 どこで覚えてきた台詞なんだか。


「そういうのを死亡フラグっていうのよ」


 雑貨屋に帰ると、加減算魔道具の大量注文が入ってた。

 学校で採用になったらしい。


 100個の大口注文だったけど、銀貨10枚しか儲からない。

 早く乗除算付きの魔道具を完成させないと。

 でも焦りは禁物よ。

 焦って作ると、バグがあって大変な事になる。


 珍しいことにお父さんが雑貨屋に顔を出した。


「ニーナはすっかり魔道具職人だな。雑貨屋の副業としては相性がいい」

「でも、魔道具の武器は作りたくないの。覚悟というのかな。私の道具で誰かが傷つくと思うと居た堪れなくなる」

「ニーナは優しいな。でもな。道端に落ちている石だって武器になる。言いたい事は分かる。責任を取りたくないのだろう。自分の良心に従って物を作ればいいさ。今のニーナなら何を作っても安心して見てられる」

「分かった。良心に従って物を作る」


「さあ、帰ったら夕飯だ。店じまい手伝おうか」

「うん」


 フラッシュの魔道具はもう作らない。

 ビュートがあの魔道具を間違った使い方をしたら、泣きながら殴ってでも止める。

 そう心に誓った。

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