『スティーブン・キング 血の儀式:Mercy』(2003)



短編集『Skeleton Crew』(1985)収録「Granmma」(1984)

日本での出版の際、三冊に分冊。

『ミルクマン』に収録。


新トワイライト・ゾーン 第1シーズン

第18話「おばあちゃん」(1985)


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家族の秘密にまつわる超自然サスペンス・スリラー。


いたずら好きの兄弟とその母親は、

郊外で一人暮らしをする祖母の世話をするため

祖母の家に移り住む。


何気ない行動から、

やがて祖母に隠された恐ろしい真実を知ることになる。


(パッケージ記載あらすじより)


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いにしえの時代から存在する邪悪な存在。

家族愛。

一族にまつわる因縁・・・


スティーブン・キングらしい短編作品。


思い切り『クトゥルフ神話』作品でもある。


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小学生のジョージは

寝たきりのおばあちゃんと留守番中。

ジョージにパパはいない。

ママは

兄が野球で骨折して救急車で運ばれた聞き、

病院に向かった。


ジョージは

宿題をしながら、ママと兄の帰りを待っている。


寝たきりのおばあちゃんが怖くてしかたがない。


優しく綺麗だった おばあちゃん。

巨大なナメクジのように、ブクブクになってしまった。

今はもう動けない。

顔はシワシワになり、

死んだ魚のような目は、もう見えていない。

時折、大声で怒鳴りながら、意味の分からない言葉を叫ぶ。

若い頃は魔女と呼ばれていた おばあちゃん。

教会や神を堂々と侮辱していた。

気に入らない人間は、次々と不慮の死を遂げる。


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物語は、実に淡々と静かに進む。


お化け屋敷的な、ビックリ箱のような展開は

特にない。

クライマックスのバトルシーンも

当然ない。


映画の方は、原作にない展開となっている。

スティーブン・キング作品の映像化としては

随所に「らしさ」が描かれている。


『クトゥルフ神話』の予備知識なく

映画を観るのを前提としての仕上がりでもある。


個人的には大変楽しめた。


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80年代には既に

スティーブン・キングは

ベストセラー作家であり、既に『巨匠』と

呼ばれていた。

短編は多分にスティーブン・キングの趣味的部分が

詰まっている事も多く、ファンサービスの側面を持つ。


『クトゥルフ神話』『スティーブン・キング』の

2大要素を潜めた怖さを映画にしたのだ。

なんという無理難題をクリアしたことか。


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トワイライト・ゾーンの「おばあちゃん」

原作を生かした

なかなか良いアレンジ。


トワイライト・ゾーンのシリーズは

『世にも奇妙な物語』のベースともなる

TVシリーズ。

劇場版もある。

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