『一四〇八号室:1408』
『幸運の25セント硬貨』新潮文庫収録。
なにもかもが究極的: Everything's Eventual: 14 Dark Tales(2002)
日本語訳版では
先行して単独刊行された中篇『ライディング・ザ・ブレット』を除いた13編を
『第四解剖室』『幸福の25セント硬貨』の二冊に分冊。
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心霊ルポライターとして著名なマイク・エンズリン。
しかし彼は、誰よりも心霊現象を信じていなかった。
ある日、彼の元へ、
ニューヨークにある「ドルフィン・ホテル」のハガキが届く。
「1408号室には入るな」
たった一言のメッセージに興味を覚え、
マイク・エンズリンは「ドルフィン・ホテル」へと向かう。
過去に「1408号室」に「入室」した者56人が全員死亡。
支配人オリンが止めるのも聞かず、
マイク・エンズリンは「1408号室」に宿泊する。
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映画化もされた「1408号室」
劇中にラジオから繰り返し流れる曲
『愛のプレリュード/カーペンターズ」が
非常に効果的。
公開当時、全米公開3日で
『グリーンマイル』 『ミスト』の
興行収入を超えた。
スティーブン・キング原作の映画の中で
より原作に近い映像化作品と高い評価を得る。
セル販売のみに
公開時以外のエンディングが3種類収録されている。
これはレンタルにはない。
なのだが、日本とは随分
非常にダイナミックでバイオレンス。
実はこの部屋、地獄ですー!な様相。
幽霊独りで現れる日本のものは、
なんと奥ゆかしく慎ましやかなことか。
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サン・ディエゴの北に高級リゾート地・コロナドがある。
『ホテル・デル・コロナド』3502号室がモデルとのこと。
部屋の温度が勝手に変わる。
ラジオが鳴り始め。
複数の宿泊客の自殺。
部屋に入った従業員は二度と出て来ない。
海に続く階段で自殺した黒衣の貴婦人は
階段を
ホテルの建物自体も、その美しさから一見の価値あり。
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『ドルフィン・ホテル』外観・ロビー等は
マンハッタンの45丁目とマディソン街の角にある
『ルーズベルト・ホテル』
非常に歴史あるホテルで
『華麗なるギャッビー』でもその姿を見ることが出来る。
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スティーブン・キングが描く
アメリカ人の『当たり前の感覚』が濃厚な本作。
キリスト教の教義などに
馴染みのない人が多い日本人には
一層、判り難いかも知れない。
馴染みのない表現で止まってしまうくらいなら
映画の方を楽しんで欲しい。
室内で繰り広げられるノンストップ怪奇現象を
遊園地のアトラクションのように
楽しんで観ることをオススメする。
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公開版含めてエンディングのヴァージョンが
4つ存在する本作。
一番前向きで夢がある、と言われた公開版も
実はとんでもないものだったことに気が付いた。
非常にスティーブン・キング的な。
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スティーブン・キングの作風で
一番の特徴は描写の「密度と濃度」
映画1本にと思うなら
本作のような短編が向いている。
『呪われた町』セイラムズロットの物語の
続編がある。
短編というより、ショートショートの量で、
確か4ページか8ページ。
ほんの一息で読めるようなページ数なのに
映画1本分はありそうな密度と濃度。
読者を
かの『セイラムズロット』へと
道案内するような。
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