『クラウチ・エンドの怪: Crouch End』1980


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アーカム・ハウス社からの依頼で執筆され

1980年 単行本に掲載。

1983年 『真ク・リトル・リトル神話大系6vol.1』

    『同6vol.2』邦訳刊行(国書刊行会)


1993年 短編集に収録。

2000年 『ナイトメアズ&ドリームスケープス2 ヘッド・ダウン』

     (文藝春秋)


再録の際、加筆訂正。

国書初期版と文春改稿版では異なる。


2006年『スティーヴン・キング 8つの悪夢』の第2話収録

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スティーブン・キングが

明確に『クトゥルフ神話』を意識して書いた初の小説。


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1974年8月19日 イギリス。

ロンドン北部の片田舎クラウチ・エンド警察署に、

ドリス・フリーマンが駆け込んでくる。

彼女は我が身に起こった出来事を語り始める。


消えた夫。

地の底から蠢き出る触手。

闇の中の巨眼。



ある警官は

クラウチ・エンドが異次元との防壁が薄い場所という。



倉庫の壁に書かれた落書き。


CTHULHU KRYON

YOGSOGGOTH

R'YELEH

NRTESN NYARLAHOTEP・・・・


警察署内の未処理ファイルには、

信用しがたい話の記録が幾つも保管されていた。


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イギリス・ロンドン北に

実在する町・クラウチエンドが舞台。

スティーブン・キング夫妻が

ピーター・ストラウブ宅に招待され

訪れた際に道に迷ったエピソードが

執筆のキッカケとなった。


ピーター・ストラウブ(1943ー2022)

『タリスマン』の共著作者。

幻想ホラー作家として数々の名作を残した。


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クラウチエンドの町は

クライヴ・バーカーも

大学卒業後に住んでいた町でもあり、

なにかと縁がある。


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作中

クトゥルフ、

ヨグ=ソトース、

ルルイエ、

ナイアーラトテップなど

クトゥルフ神話の闇の神性の名が

幾つも出てくる。


「1000人の子を連れた山羊」は

シュブ=ニグラス。


「60人、恐怖の地下で行方不明」は

ラヴクラフトの短編

『ピックマンのモデル :Pickman's Model』


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「Don't go to Crouch E〜〜〜nd!」


恐怖に歪んだ表情で叫ぶ声。


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劇中のクラウチエンドの町は

ひっそりと静かな田舎町。

登場人物が少ないだけではなく、

町の住人すら殆ど見かけない。

クトゥルフ神話の神や眷属の方が

数が多かった。


実際のクラウチエンドの町。

舞台としてピッタリな程 

静かな町だそうだ。


娯楽らしい娯楽も特にない。

地下鉄の駅もなく。

スーパーもなく、本当に何もない

田舎町。

のんびり静かに暮らすには

とてもよい町のようだ。


映像化の折は

ロケ地は別の町である。


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異次元との壁はたいてい厚いもの。

ただ、時々その壁が薄い場所がある。

その最たる場所が

このクラウチエンドだ。







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