魔術学校における

ねるれと

第0話 八月三十二日エンディング

 時計を切断する濃い青色の剣、直後に崩壊を始めた時計の中身のような世界、歯車の軋む音、それを聞いて俺は終わりを感じる。


 「やっと終わりか。二年かかった。俺はようやく明日を迎えられる。」


 思えばこの二年ずっと魔術研究と剣術修行だけに専念していた。abilityを見いださなければより時間が必要だっただろう。

 これからどうしようか。この力は隠さなくてはならない。常に監視されながら過ごすのは一か月を繰り返すことよりも辛いと予想している。自宅でゲーム中に横から無言でグラサン野郎に見られる想像をして気分が悪くなる。


 明日からは学校だったと思う。夏休みが延びに延びて二年だ。長い夏休みになった。いや、俺以外は普通に一か月だったとおもうんだけど。


 まあ、いいや。とりあえずここから脱出しようか。残り少ないマナを使って

しかし何も起こらない。ああ、全部使ったんだったな。どうすんの?

 やばい、ヤバいやばい。このままだと次元の崩壊に巻き込まれて俺も崩壊してしまう。ここで終わるわけにはいかない。


 焦っていると真っ二つで転がっていいる巨大な時計がわずかに動いていた。


 「うそだろ、これでまだだめなのかよ。」


 剣を振り下ろそうとすると、


 『安心しろ。もう終わりだ。お前をここから出してやろうというのだ。喜べ少年よ。』


 どこから声だしてるんだろ?


 「そりゃありがたいね。てか、あんた喋れたのかよ。だが、施しなど受けるわけにはいかないな。」


 剣を構える。


 「そう警戒するな。悪い話ではないだろう。少年もここで終わりたいわけではないのだろう。」


 老人のような声はどこか余裕があり、真っ二つになったにしても油断はできないと判断する。


 「黙れ誰のせいでこうなったと/異音、音の方向を見ると巨大な歯車が落ちている。


 『時間のようだな。もう後数分もない。受け取れ。特大サービスだ。帰還術以外もおまけでつけてやろう。』


 時計の針が飛んでくる。


 足の動きが鈍い、時間魔術か、叩き落すべきだ。剣を振る。しかし、針は剣をすり抜ける。


 「畜生、こんなところで。」


 胸に刺さった針は傷を刻むことはなく、体に溶け込むように消えていった。


 「一体、何が?」


 瞬間、足元の鋼板が消滅する。


 落ちる。これは帰還術か。それにしても


 「仕事が雑なんだよクソ野郎がああぁぁ」


 『上手くいったようだな。』


 落ちていくなか上からなんとも偉そうな声が聞こえた。


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