神様の巫女〜妖と暮らす人間の少女と、少女を気に入る貴神~

ワルサーP旧式

プロローグ~開幕~

古来より、この国には六つの世が存在した。


 地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天____。


 地獄、餓鬼、畜生、阿修羅には、獣や妖、地獄堕ちとなった人間が彷徨い、

人間には人間が、天には神が存在しているとされてきた。


 しかし、もう一つ。

 我々が知る六道とは別に、もう一つの世が存在していた。



 ____天狗道。



 その名の通り、天狗が住まう世界。

 神でも人でも、妖とは違う立ち位置に生きる、漆黒の大翼を持つ高貴な人型であり、戦闘に特化した肉体を持つ。


 他の六道と比して、世界というにはあまりにも小さく、僧正坊と呼ばれる1人の大天狗が収める独裁社会である。


 そんな天狗界では2年に1度、天道の神々を交えた合同神議が開かれる。


 プライド高く、保身第一の神から見れば、六道から外れ、人間のように管理下に置けない天狗は大敵だった。

闘争すれば、勝ち目は五分五分。武神が前線に立ったとて、数は天狗に勝らない。六道の管理を担う天道の危機は、それ即ち残り五道の危機を指す。


 要はこの合同神議は、親善を装った神々総出の僧正坊の機嫌取りなのである。

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