(2)
「ねえ、今更、遅いよ」
「でも、誰がやるんだよ、あたし達の他に?」
「あのさ、沙也加ちゃん?」
「何?」
「向こうに着く頃には、また、気が変ったりしてない?」
「……」
「行き当たりばったり過ぎるよ……」
結局、置いてかれた、あたしと沙也加ちゃんだが……結局、また気が変って、夢洲に向かう事になった。
ただし、一〇時過ぎに鉄道で。
なお、他の人達が出てったのは……朝の3時ごろ……。
何かが起きるとしたら……もう……。
あれ?
「まだ、何も起きてないのかな? 鉄道、普通に営業してるよ……」
「まぁ、いいか……ところで、どこで戦闘服に着替える?」
「あ……ごめん、あたし、変身出来るから……考えてなかった……」
「まったく……もう、いいや……早く電車に乗……」
その時、駅内放送が……。
『本日は、イベント開催により混在が予想されます。こちらで往復券の購入をお願いします』
周囲を見ると……。
「オタクのおじさんばっかり……」
「魔法少女のアレか……」
「撫子ちゃんさ……」
「何?」
「こんな人達に……その……」
「やめて……」
ああ、魔法少女に成れなくて良か……ん?
「何か……警察官、多くない?」
それも、普通の警察官じゃない……。
この季節なのに異様な重装備。
顔中、汗まみれ……。
そんな警察官が何人も……。
「えっ?」
「何?」
その時、駅内に居たおっさん達がざわめき始め……。
でも、警官達は冷静だ。
異様に冷静だ。
ここの警官達にとっては「テロリスト」であろう人物が現われたのに……完全に冷静なまま、一般人を守ろうとも避難させようともせずに……改札を通り……。
ザクっ‼
「それ」は、警官の1人を背後から斬り裂い……いや……斬り裂かれたのは、警官の1人が着ていた上着だけだった。
「変った防弾ベストだな。人間用の
その警官の体には……爆弾が巻き付けられて……。
「了解しました。無視して夢洲に向いま……」
だが、次の瞬間……警官達は……体から徐々に力が抜けていったかのように……ゆっくりと地面に膝を付いた。
「おい、何で、ここに、こいつが居るんだよ?」
その声の主は……クソ女の親類が着てたのと良く似た……けど、装甲部分は少なくて、所々にファイアーパターンが描かれた
「大体の想像は付くがな……。おい……」
そう言って……慌てて、背負っていた大きなリュックから何かを取り出そうとしていた沙也加ちゃんを指差したのは……。
ニュースで見た事が有る。
強化装甲服・護国軍鬼……。「正義の味方」達の最終兵器。
「ごめん、お姉ちゃん、見逃して」
そう言って、沙也加ちゃんが……護国軍鬼に向けて構えたのは……。
荷電粒子砲……。あの……「当たり所さえ良ければ戦車の装甲もブチ抜ける」って……アレ。
沙也加ちゃんは「鬼」形態になり……。
「沙也加ちゃん、いくら何でも、行き当たりばったりにも程が……」
「だって、これしか手は……」
けど……。
沙也加ちゃんの放つ電撃で、荷電粒子砲の充電は終ったみたいで……側面のメーターは「100%」の表示。
でも……。
「そうだ……お前が、今、一番会いたくない人も、ここに来てるぞ」
「だから、見逃し……あれ?」
「あのな……そんな危険なモノ、他のメンバーの承認が無いと発射出来ないに決ってるだろ」
「爆弾処理のドローンと……一般人の避難誘導が出来る奴、出せるだけ全部、すぐに、ここに寄越して」
ファイアーパターンの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます