(4)
「ところで、その髪型、私の真似た?」
「うるさいですッ‼」
謎のおじさんを助けたのは……今年の春に「魔法少女大戦」というイベントが潰れた時に現われた謎の人物。
高校生らしいけど……身長は一五〇㎝台。けど、筋肉は結構ありそう。
しかも、魔法が全く使えないらしいのに……魔法攻撃を伴なう格闘術の達人の筈のあたしの師匠を、あっさり倒した謎の人物。
「そもそも、この上着何ですかッ?」
「何が?」
「ちゃんと通気性は有るのに……」
「そりゃ、夏に通気性の無い上着を着てたら熱射病で死ぬ」
「なのに、何で、人2人分の体重を支えられたんですか?」
「たまたまだろ。ともかく、ここの救護スタッフを呼んで着てくれ」
「どこへ行けばいいか判りませんッ‼」
「開き直るな。じゃあ、私が探してくる。あ、そのおっさんがベルトに下げてる手榴弾みたいなモノだけど……おっさんの意識が戻る前に全部外して、おっさんの手の届かない所に置いとけ」
「え……えっと……これ……何ですか?」
「多分だけど……警察が犯人を鎮圧する時に使う閃光手榴弾だ。手榴弾って言っても爆発はしない。強い光と音で、犯人の視覚と聴覚を一時的に封じるだけだ。あ、外すのはいいけど、間違ってもピンは抜くな」
そう言って、その女の人は立ち去り……。
「どう言う事だ……一体?」
ガラスを突き破って、吹き抜けから落下しかけたおじさんの救助を手伝ってくれた別のおじさんが、そう言った。
「あ……あの……これって……」
同じく救助を手伝ってくれた別の女の人が、絶賛気絶中のおじさんの胸を指差す。
謎のおじさんが着てるのは……灰色の作業着。
その作業着には見覚えが有った。
そして、女の人が指差してる胸ポケットには……県警のマーク。
ともかく、あたしは、おじさんが腰のベルトに下げてる物騒なモノを外そうと……あれ?
おじさんが……意識を取り戻し……あたしの手を掴み……。
「ぐふふふ……魔王の手先のメスガキ・サキュバスめ……。異世界転生して数々のチート能力を身に付けたボクを、この程度で倒せると思ったか?」
えっ?
このおじさん……何を言ってるの?
そして、もう片方の手がベルトに伸び……あ……まずい……。
「もう一発、ファイアーボールを喰らえッ‼」
……いや、それ絶対に魔法でもファイアーボールでも……。
「ん?……ふにゃ〜……」
けど、おじさんは再び気を失なって……。
「あっ…。助かりました、プリムローズさん……」
あたしは「
「あのさ……」
「何ですか……?」
「昔の『芸名』で呼ばないでもらえる?」
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