私  その4

 酔っぱらいは、私の話を聞き終えた後、自分の靴先に視線を落とし、「いくらなんだ」と小さくかすれた声を出した。


 いくらなんだ?

 すぐには何のことだかわからなかった。しばらく言葉の意味を考えて、料金のことを聞いていると気づいた。その瞬間、笑いの発作が腹の奥から込み上げてきた。私は奥歯をかみしめ、腹筋に力を込めて笑いを押さえ込んだ。

 そうか、そういうものなんだ。世の中、全ては金次第とはよく言ったものだ。どうやって殺すのか? 苦しまないように殺すのか? そういうことは気にならないんだな。

 よろしい、動機の引き取り料として、お金をもらってやろうではないか。

 私は男の身なりを再確認して、請求する金額を考えた。

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