「大好き」
モルモットが非常に「おしゃべり」で
どうかすると
一日中 喋っている声が
ハッキリ聞こえる。
たまに歌も歌っているくらいだ。
ハムスターも大概「おしゃべり」なのだが
如何せんニンゲンの耳では
ハムスターの「おしゃべり」の声は聞こえない。
これは聞き取れる周波数の範囲が
全く違うということで
どうしても聞くことが出来ない。
聴こえるのは「危険」を知らせる声だったり
悲鳴であったりで、
だったら声が聞こえなくてもいいや、と思っていた。
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ハムスターには こちらの言葉が
ほぼ全て判っているのに
こちらは何も判らない。
とても悔しく悲しくなっていたことがあった。
「ごめんね。
お話してくれてるのに
声が聞こえない。
一緒にいっぱい お話したいのにね」
言いながら涙が出てしまい、
それを見たハムスターは
慌てて たくさん ちゅーをしてくれて。
そのあと、顔を上げたハムスターは
笑顔で「毛づくろい するから横になって」と
言ってきた。
顔の前に立ち、
毛づくろいしてくれるハムスター。
笑顔でたくさん「おしゃべり」しながら
本当に丁寧に毛づくろい。
つくろいながら、時々
手で頬をとんとん。
鼻先に ちゅー。
顔を両手で抱きしめてくれたり。
長い時間の 毛づくろいと慰め。
ずっと笑顔は大変だろうに。
無理だと言われたが元気になれたのも
あの小さな仔たちが支えてくれた事も大きい。
そんなことがあった直後の休日。
家の者も休日で
久々に「もふもふ団」全員集合の日だった。
その仔がニンゲンの前にやってきて
満面の笑みで、ハッキリ聞こえる声で言った。
ハムスター語で
「おとうちゃん おかあちゃん 大好き」って。
キケンや悲鳴ではない。
ハムスターの会話の言葉。
すごいことを言われた!
嬉しいことを言われた!
それだけは判った。
ハッキリ意味が知りたい。
ニンゲンたちの質問に、身振り手振りで
答えてくれて、
意味がハッキリ理解できた。
ニンゲンの耳で聞き取れる声で
キケンを知らせる声以外を聞いたのは
その1度きりだった。
相当無理があるのだろう。
その日から 忘れないように
教えてもらったハムスター語は
用もなく口にしている。
発音が違うと
通じないどころか
全く違う意味になる。
それも教えてもらった。
それ以来
うちの仔になったハムスターは
ニンゲンから名前を呼ばれて
ハムスター語で「大好き」と言われる。
今でも他のハムスター全員に通じているので
発音もブレてないようだ。
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モルモットとハムスターは
楽しそうに「会話」し仲良く暮らしている。
モルモットに覚えたハムスター語で話しかけるが
「なに言ってるの?」と不思議そうで。
ハムスター語とモルモット語は、やはり全く違う言葉なのか。
ハムスター語の「大好き」は
普段のモルモットの言葉の中にはない「単語」の様に思う。
モルモットに聞いてみたが
意味が判らない、と言われた。
ハムスター語教えてもらったから、通じたらいいなと、
説明したら喜んではくれた。
ニンゲンの手話は国ごとに違うのだが
海外の人とでも割と通じると聞いたことがある。
ニュアンスとしては
こういう感じなんじゃないだろうか。
モルモット語の「大好き」が知りたくて
教えてくれと時々頼むのだが
そんなことより「抱っこしろー」になる。
なにかのタイミングで
教えてくれる、かも知れないと
諦めずに、また頼んでみよう。
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