耳かき
家の者の耳の手入れと、ついでに耳かきをしていた。
横で見ていたハムスターが
「ぼくも耳かきして」と
テレながら頼んできた。
耳かき棒を使って欲しいという。
あの薄い耳と、
どう考えても人間用の耳かき棒では
頭に刺さりそうだ。
その旨ハムスターに伝えると
涙をこぼしながら
「自分で出来るから大丈夫」とばかりに
自分で耳掃除を始めた。
ハムスターのお願いなんて
どれも小さなものばかりなのに。
小さな体の小さな願いは
どれも叶えてあげたいのに。
叶えられない願いがあるなんて。
ニンゲンは
なんとかならないかと知恵を出し合い
調べてもみた。
人間の耳かき棒を改造しようかと思ったが
小さな体にキケンがないか
見落とす可能性を考えて断念した。
夢は叶わなかったが
耳かきを頼んだ仔には
ニンゲンの熱意と愛は伝わったようだった。
後日、やはり家の者の耳掃除と耳かき中。
わざわざ目の前まできて
自分で耳かきをしていた。
「一緒に耳、かきかき ね」
ぴこん!
いい笑顔だった。
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