第42話三年前~シャイン公爵side~

 私の名前は、ルキウス・ゴットリープ・シャイン。

 アダマント王国の王弟であり、今は臣下に降り公爵の立場だ。


 王家特有の青い髪と、初代王と同じ透き通ったアクアマリンの瞳をして産まれたために、ミドルネームに「ゴットリープ神に愛された男」と名付けられた。今思うと、この名前からして兄に疎まれているように思う。

 王位に全く興味がなかったので自ら臣下に降りた。それでも何故か兄は疑心暗鬼のまま。王家派の重鎮を罠に嵌めて退陣させたせいだろうか?

 まあ、そんな事はどうでもいいか。


 問題は娘のことだ。

 

 兄弟仲が不仲にも拘わらず、娘と王子の婚約を打診してきた時は驚いた。

 結局、ブリリアントは王太子の婚約者になった。だがどうも仲が一向に進展しない。さもありなん。二人はどう見ても正反対だ。ユリウス王子は優秀だと言う評判通り文武両道だった。その反面自分の立場を正確に把握していない愚か者でもあった。目が曇っているとでもいうか。どうも「こうだ」と一度でも思うと中々抜け出せないタイプだった。何かのきっかけがあれば目の曇りも取れると思うのだが、流石に教え諭すことはしない。そこまでする義理はないしな。

 甥とはいえ、さして交流がなかったのだ。

 彼からしても私は遠い存在だろう。

 


 これ以上、娘と王子の関係が拗れる前に一度物理的に距離を取る方が良いのかもしれない。幸いにして学園には留学の名目で入る予定だ。これは後々お互いのためになるはずだ。さて、準備を始めよう。まずは、学園から話を勧めた方が無難だろう。あちらも王子に苦労させられているらしいからな。



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