第41話三年前~ユリウス王子side~
父上からは理不尽に叱られた。
何故だ?なにも間違った事は言っていない。
あの小娘は学園に籍を置くだけで一度も通っていない上に、外交と称して遊び歩いている始末だ。当初、小娘が公爵夫妻の仕事を学び始めたと聞いた時の感動を返せと言いたい。社交に明け暮れ、事務仕事は一切しないという報告をジークフリートから受けた時は、我を忘れてその場で怒鳴り散らしたほどだ。
ファッションや宝飾品の話ばかりの茶会に出て何の意味があるのか。
派手に着飾った女どもを褒め称える道化になどなれるか!
あんな実のない会話を聞くよりも
財務大臣など、小娘の茶会の常連だと言うではないか。
軍の予算が削減されたのもそのせいだな。まったく、政治の中枢にいる者が小娘の甘事に踊らされている。諸外国にヘラヘラと愛想笑いする連中が増える一方だ。元軍人とは到底思えん弱腰だ。あんなのだから他国から舐められるのだ。どっしりと構えていれば良いものを。どうせ連中らは我が国のダイヤモンドが欲しいのだ。もっと高値で購入させろ!まったく、無能共が。足元を見られてあのザマだ。そのおかげで我が軍がどれだけ困窮していると思っている。
そういえば先日、隣国の大使殿がお忍びで我が国へ来られたのだが、その時も小娘に土産を渡していたな。確か真珠をあしらったペンダントだったが、あれ程の品を渡すとは何を考えている。いくら友好国とはいえやり過ぎだ。あれではまるで賄賂ではないか!渡す方もそうだが受け取る側もどうかしている!!
止めるべき大臣達は当たり前に享受しているではないか!
このような不正がまかり通るなど間違っている。
僕が王位を継いだ暁には、あんな大臣共は一掃してやる!
そして、真の愛国者と共に嘗ての栄光を取り戻してみせる!
だがその為にもまずは、目の前の問題から解決しなければ。
僕の計画の為にも。
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