おいしい食卓

働気新人

第1話 ロールキャベツ

 自宅警備員。これは崇高なる仕事だ。誰にできるわけでもない。

 俺はプロの自宅警備員だ!

「ま、実家じゃないし、かじる脛は嫁のだけどね」

 一人の家でぶつぶつ言いながらキッチンを物色する。

 冷蔵庫に入っている材料を漁り、使うものをしたためていく。

「キャーベツさんとー、豚ーのひき肉さんーでー、玉ねぎさーん、こんなもんかな? キャベツ少しと玉ねぎをみじん切りにしてー、ロールキャベツとかええなー」

 下手な歌を歌いながら材料を出して必要な分を取り出していく、少しアレンジでトマト、コンソメ、ケチャップ、塩コショウ、白ワインを用意して、フライパンなどの調理器具を用意していく。


 底が深いタイプのフライパンを取り出し、適当に刻んだとトマトを突っ込み、水を加え煮込んでいく。

 時刻は一六時、嫁が帰るまでにはまだまだ余裕がある。

「玉ねぎとキャベツのスープでも作ろうかな。先にロールキャベツを作る」

 鍋でお湯を沸かしながら、ひき肉、玉ねぎとキャベツのみじん切り、塩コショウ、パン粉を取り出して牛乳をしみこませて突っ込む。卵を割り、ナツメグを少々入れて粘りが出るまでひたすら混ぜる。

 満足するまで混ぜたら肉にくっつくようにラップをボウルごとして、冷蔵庫にいったん入れる。

 そして、玉ねぎのスライスとキャベツのざく切りを用意しておき、キャベツの葉を数枚湧いたお湯に入れる。

「やべ、塩忘れてた。別にいいか」

 小さな失敗を忘れ去り、調理を淀みなく続けていく。

 キャベツを上げ、バットに取り出し、使っていた鍋を軽く洗いまたお湯を沸かす。

 煮込んでいたトマトに塩コショウ、コンソメ、ケチャップ、白ワイン、水を入れトマトをつぶしていく。

 まだぬるいお湯にコンソメ顆粒、塩コショウ、醤油を入れ、玉ねぎ、キャベツを突っ込む。

 冷やしておいたロールキャベツの種を取り出し、六等分にした種をキャベツで包んでいき、キャベツの余った部分を巻いた隙間に適当に突っ込んでいく。

 先ほどから仕込んでいたトマトのスープにロールキャベツを並べていき、蓋をする。

「さて、後は一時間くらい煮込んでかなぁ、スープも弱火でちょいちょい煮込んで……週末だしお酒も造ろうかな」




「ただいまー! つかれたー」

「おおー! スポンサー様! おかえり、ご飯できてるから着替えておいで?」

「なんかイタリアーンなにおいする」

 スンスンと鼻を鳴らしながら自室に入っていく嫁を送り、キッチンへ戻る。

 米をよそい、ロールキャベツ、スープを盛り付け、手際よくテーブルに並べていく。

「さて、今日のお酒はハイボールにしようかな。レモン! ウイスキー! 炭酸水!」

 冷やしたグラスにレモンを絞り、ぶち込む。氷を入れ、ウイスキーを注ぎマドラーで何度かくるくると回しウイスキーを冷やし、炭酸水を氷に当たらないように静かに注ぎ、マドラーで氷をしたから静かに持ち上げ完成! それを二つ作り、テーブルに置く。

「おおー! お酒まであるー」

「うん、簡単なものだけどね」

「いやー! お姉さんをいたわってて偉い!!」

 抱き付き頭をなでてくる嫁を座らせ、手を合わせる。

「「いただきます」」

 早く就職先見つけないとな……。

 笑顔を見つめながら心から思う。

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おいしい食卓 働気新人 @neet9029

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