この世界はもっと命を大事にすべきだということを僕だけが知っているような感覚がしてならない
Lemon
はじめに
僕は、何かの死体や何かが死にかけている状態を見ると、心からの恐怖を覚える。
吐きそうになることだってある。
風呂場で浴槽にハエの死骸が浮いていたとき、猫が痙攣するネズミを咥えていたとき、路肩で死んでいるタヌキを見かけたとき、葬式で棺桶の中で眠る人を見たとき。
どんな程度の死であれ、僕は本当に怖いと思ってしまう。
何かが死んだという事実が怖いのだ。
ついこの前も、テレビに写っている駆除された猪の死体を見て、とても悲しくなったし、心から可哀想だと思った。
でも、自分が死ぬことが怖いかというと……心残りはあるし、痛いとか苦しいとかは嫌だけれど、別に怖いとは思わない。
だから多分、他の生きものの命が終わっていくことに、僕は大きな恐怖を感じているのだろう。
ただ、僕も人間だ。
肉は食べるし、卵を使った料理は大好きだ。
牛乳だって毎日飲んでいる
好物はエビとハムカツとアップルパイ。
全て植物だけでは成り立たない料理だ。
どんな生きものだって、搾取しあって生きている。
微生物でさえも、生きていた何かの死骸を喰らうのだ。
ただ…………
食べるためではなく、ゲームの中でするように生きものの命で遊ぶのはもってのほか、必要以上の命を搾取するのは、許せない。
奴隷制度、ナチスがユダヤ人にしたこと、広島と長崎に落とされた原子爆弾の話。
初めて知ったとき、本当に怖かった。
それと同時に許せないと思った。
まぁ、当事者は自分ではないし、こんなガキ一人が必死に考えたって世界が変わるわけではないのだから、これをいくら考えたって意味がないのかもしれないが……
僕はこういった命の搾取は許せないと思う。
このくらいは、きっと誰しもが共感できる範囲ではあるかもしれない。
僕がこの作品で言いたいのはこの先だ。
あなたは、ハエを叩いたことはありますか?
僕は、昔はやっていたのかもしれないが、今は絶対に出来ないと思う。
怖いから?
手が汚れるから?
そんなわけがないだろう。
ハエだって生きているからだ。
人の血を吸うのは、雌のハエだけだ。
自分の子供を育てるために、人間の血を吸っているのだ。
あなたは、食事のたびに『いただきます』を言っていますか?
僕は絶対に言うようにしている。
作ってくれた人へお礼をするべきだから?
最低限のマナーだから?
正しいけれど、違うだろう。
一番大切にすべき理由は、『他の生き物の命をいただいているから』だろう。
死ぬために生まれてくる生き物なんてこの世界に存在しないはずだ。
どれも大切な命なのに。
こう思ってしまうのは間違いだろうか。
だって、僕たちは、他の生きものを喰らわないと生きていけない。
だから、本当は自由に生きられるはずだった、可哀想な生き物たちの、大切な命をもらって生きているのに。
なんでみんな、それを申し訳ないと思わないのだろう。
なぜ感謝を持たないのだろう。
そして、なぜ必要以上の搾取を当たり前に思ってしまうのだろう。
そんな疑問を持つ僕は異質だろうか?
この作品では、命に対して、ちょっと変わった見方をしてしまう僕の考えを書いていこうと思う。
言い方が悪くなってしまうが、これを読んでくれたあなたが、何か、今までやってきたことに少しだけ申し訳なさを覚えてくれればいいなと思う。
そうして、そう思ったあなたがこれから命を大事にすることで、少しでも、この世界の必要以上の命の搾取が減ることを祈っている。
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