第三章 見世物小屋

学校で九九の勉強が始まる頃、一足早く塾にて、九九の勉強をさせられていた。

ある日、父が珍しく機嫌よく話掛けてくる

「1×1から始めてるのは、普通の事。だから、九×九から逆からスラスラ言えないとダメだから、お母さんと練習しなさい」


また、どうでも良い父の自慢に付き合わされるのだろうか。

しかし、やらなければ殴られる。


そして、ようやく逆から言える頃、父のお客様が家に来る度、お客様の前に座り、挨拶をして逆九九を披露する場を設けられる。


上手く言えなかったら、お客様が帰った後で殴られ、上手く言えたらお小遣い稼ぎになった


機嫌を損ねないよう、何時もは寝ろ!と言われる時間に、お客様がいらしゃる時は、眠い目を擦って顔を洗い、シッカリ起きて役目を果たした


眠そうにしていたら、殴られるよ!て、母に裏で叱られ、またそんな顔をして出ようモノなら、後から殴られる


母は、自分が殴られ無いようにする事にも必死だったかもしれないが、庇うと言う事は、ほとんどしてくれなかった

殴れる事は、自分が悪くて、自分の殴れる種をまき、その芽を刈り取っただけの話なんだろうか。


逆九九読み披露は、暫く姿を見なかった父の旧友が、娘を見世物小屋みたいな扱いして、何がしたいの?

と、言う1言で幕を下ろす事になる。


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