台湾が凄かった

 台湾で大きな地震が起こった。それは本当に残念な事ではあるが、その震災後の対応の見事さに対して、なぜ日本ではこれができないのだという声が上がっている。


 日本は地震大国だ。毎年のようにどこかで大きな地震が発生して、余儀なく避難しなければいけない人が出る。しかしその避難場所の環境改善は一向に進まない。聞けば台湾も数年前までは日本と同じ状況であったらしい。しかしその環境の悪さに苦情があげられ、対応する側は反省して改善を繰り返してきた。その成果が今回表れた形なんだろう。


 技術的にはそう難しい事ではない。プライバシーを確保したり、十分な食料と水を供給して、トイレや風呂などのインフラの整備と温度環境の確保などである。しかし不慮の事態に平時から備えておくことはコストと手間がかかる。であればそのコストをどう抑えて、手間と共にどこから捻出するかである。


 日本には北方領土を除いて、1718もの市町村がある。そうして震災時の避難所の設置基準は市町村ごとにバラバラなんだそうだ。1718通りの設置基準があるという事だ。以前も書いたが、転出入の時に各市町村で届け出の書式が全部違うのには驚いた。大体の内容は同じなのに少しだけ違う。一体これでどれくらいの無駄なコストが発生しているのだろう。


 そもそも紙で書かなくても、マイナンバーカードで本人確認ができるようになったというのであれば、転出入届などオンラインで申請できるようにすればいい話だ。そこでまた過疎地域や地方のIT技術者不足という課題に当たってしまうが、その点に関しては以前にも書いたIT大学構想と被るので割愛する。とにかく無駄な部分のコストと手間は省いて、その分のリソースを必要な部分に振り分けないといけない。


 しかしそれを提案する人がいない。市民から提案があっても議員から圧力などをかけでもしない限りは動く人間もいない。法律で決まっている(実際はそうでもない)等を理由にして行政側が動く気配はない。今までも微力ながら、閑散とした公共施設の活用方法や、空き家問題を解決するための固定資産税の軽減、観光資源の有効活用など色々と意見をしてきたが、全ては暖簾に腕押しであった。


 前から言っている通りこれは個別の問題ではない。この国特有のシステムの問題だと思う。改善していくサイクルが全くできあがってないのだ。役所で未だにフロッピーディスクが使われていたり、WINDOWS95が使われているのも全ては同じ理由だろう。


 これからも少子高齢化が進んで、労働力が不足し社会がまわらなくなっていくのはもう決定した未来だ。今何が準備できるかと言えば、とにかく改善していくサイクルの構築だと思う。ひとつひとつ細かく検討していきたいところだが、もう時間が無い。システムだけ作って様々な事が自動的に改善して行けるようにしていく他ない。一時期流行ったISO9000シリーズも、ことさら改善のサイクルについてのシステムについて言っていた。


 まぁそれができるくらいなら、既ににやっているだろうと言われたら返す言葉もない。台湾にできるのであれば、日本にもできるはずだと思ってしまうのは、日本人を買いかぶりすぎているんだろうか?そうは思いたくない。

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