ヤマイモとオニドコロ

 ここのところ登山人気も高まっていて、有名どころの山の登山道は週末ともなれば結構な人出で溢れている。相まって低山であっても、遭難したという話が多くなってきているように感じる。


 以前ネットで聞いた話では、山で育った人たちは、たとえ遭難しても餓死することは無いとの事だ。もちろん生き延びるためには水の確保が重要になるけども、どちらかというと食料の確保の方が難しそうな気がする。


 しかし山をよく知る人は、水さえ確保できれば、何日でも野宿で生き延びる自信があるという…では食料は一体どこから入手するのか?


 ヤマイモなんだそうだ。


 山歩きをしているとキノコなんかは良く見かけるけども、それを食べる勇気はない。毒を持っている確率が高いし、それらを見分けるのは素人には至難の業だからだ。しかしヤマイモは比較的簡単に見分けられるらしい。見分けると書いたのは、ヤマイモに非常に似た存在としてオニドコロという植物があるからだ。


 ヤマイモの特徴は樹木に絡みついたツタから伸びる葉の形で、縦長のハート形をしている。しかしオニドコロもハート形なのだ。オニドコロの方がやや横幅が広いという違いがあるが、慣れていないと見分けるのは難しそうだ。


 なのでもう一点、葉の生え方にも注目する。ヤマイモの葉は節から両側に対に生えている(対性)。一方オニドコロは一つの節から片側にしか生えていない(互生)。それが交互交互に上まで続いている…なんだ簡単だと思うかもしれないが、実際に山で観察してみるとそうきれいには見分けられない。ある部分は対性なのに、違う部分は互生で混ざっていたりする。自然に存在するものは、デジタルではなくてアナログなので、曖昧な部分が多い。もしかしたら上記の二種類以外の植物かも知れないが、やはり聞くと見るとでは大きく違う。


 今のところ遭難して、ヤマイモを掘らないと死にそうな状況に陥ったことは無いが、そんな状況にいつ置かれてもいいように、山歩きの最中にはヤマイモの葉を探す練習をしたりもしている。


 ちなみにオニドコロの根もヤマイモのように少し太くなっているそうだが、こちらは食べると毒なそうなので、自信の持てないものは口にしない方がいいかもしれない。

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