派遣魔女ロゼット

麻河 マロン

第1話 卒業断罪パーティーから戻ったそうです



 ここは剣と魔法で魔物を退治するセレアシャトン連合王国。


登校1日目


 とりあえず職員室に来てくださいとのことなので生徒玄関から職員室を目指そう。

玄関に入る前に馬車のロータリーに何台か豪華な馬車が停車したのが見えた。

貴族には関わらないようにしよう!

足早に校舎に向かう。


 担任教諭を教えてもらって今日は一緒に教室に行って紹介してもらうことになった。

「名前と簡単に魔法の種類を披露してね、Aクラスはいつも王族と貴族がほとんどなんだけどこの学年はたまたま平民が1人もいないんだよね。みんな王侯貴族となる訳だけれど学園では身分の違いはないことになってるから学園にいる間は仲良くしてもらえるといいね」

 多分仲良くしてはもらえなさそうな気がする『二人組なってー』って言われたらポツンとしている自信あるわ!


 私はこれから国唯一の魔法使いが学ぶセレアシャトン魔法魔術学園2年のAクラスに編入する。


 私はロゼット・ロジャースで体年齢は17歳の平民だ。


 今日は新学期初日で午後は新入生の入学式が催される。

ここセレアシャトン連合王国では15歳になる年に魔力測定して魔力を認められると王都の魔法魔術学園に入学する。平民から入学となると実に誉れ高いことらしい。

私は15になる年の測定日にはまだセレアシャトン連合王国に来ていなかったので測定されていなかった。

 現在居住している教会で付近の15歳の子の測定があり、16歳だった私は係員に引っ張られ測定されてしまった。あの時に身体強化魔法をかけて係員を吹っ飛ばしていても結果は同じだっただろう。

『そんな髪色と瞳の色で魔力なかった子はいない』って断言され、教会に併設された孤児院で食事の準備に芋を剥いている時に引っ張られて連れていかれた。

 係員は手洗いと間違えて居住スペースまできたらしい、後になってから思う時に入学のきっかけはトイレです!なんて言い辛いな。


 本来なら1年生からなのかもしれないけど就学年齢を合わせたいようで一般教養テストと論述筆記で問題ないとなり2年に編入することになった。


 担任教諭と廊下を歩いてもう少しで教室というところで腰に手を当てもう一方の手で燃えるような赤い色の長い髪を払う仕草をした令嬢に呼び止められた。

「あなたね!泥棒猫は!虫も殺さないような顔で弱いフリして全てをわたくしから奪っていくのね!」綺麗な人だ!お貴族様だろう、庶民の暮らしではお目にかかれない磨きあげられた美しさだ。

「エリザベスさんお話は後にして教室入りましょうよ。皆さんに新編入生紹介しますから」華麗なるスルースキルで担任教諭は令嬢を諌めた。

 無視するようなのは嫌なので「初めまして、後でお話いたしましょうレディ」と言って担任教諭と教室に入った。

「ロゼット・ロジャースさんです測定に漏れていて編入扱いになります。皆さん仲良くしてくださいね!じゃあ得意な魔法を披露してね」


 魔法は何がいいかな?


『水魔法だろ?』『氷かもしれませんわ』水色の髪色で推測されているようだ『ロジャースって聞いたことあります?地方の貴族かしら?』囁く声が聞こえる。ここでは9割近い平民がいて名字があるのは珍しいこと貴族はもちろんで商家や騎士家などに限られる、王都は商業が盛んなので割と多い方だけど。

「それでは私が得意なイリュージョン魔法を披露します!」右手を掲げて指を鳴らすジェスチャーをする、実際には指はすかっと不発な音しかしないけど誰も気がつかない。その前にまわりの景色に目を奪われてるからだ!

 教室をお花畑にした、何処までも奥行きがあり遠くに残雪を抱いた山脈も見える、自然界ではあり得ない色とりどりの蝶々も飛ばせてみる、そんな中に教卓と生徒用の長机と椅子がある状態でなかなかシュールだ。

 皆さん景色に目を奪われてる!よかった成功だ、少なくとも低レベルな魔法ではないらしい、だけどなんとなくわかるけど隙間産業的な魔法だと自負している。光魔法の応用だけど誰もこちら方面に頑張ってなさそうだからだ。

「次は地の果てです!」また指をすかっと鳴らして地獄絵図みたいなものを出す。この王国では悪い子は地の果てまで魔物に連れ去られるそうだ。

 地の果ての解釈は説法する人によって違うので自分なりにアレンジして血の池と針山は外せないから入れておどろおどろしい景色を創り上げた。


 女子が震えてる!泣いてる子もいる!耐性ないのか?悪い事をした。

「後は火の玉とかつくれますけどコレが一番得意ですね」

「素晴らしいですね!さすがAクラスに編入されるだけの魔力ありましたね!とりあえず一番後ろの廊下側の席にどうぞ」返事して歩いて向かうと軽くて体をよけられた。もう平民なのは知られていたのかな?お貴族様は平民と同じ空気吸うのも嫌だと思っていそうだ。


 休み時間になるとエリザベス嬢がやってきた「あなたが泥棒猫?」今度は疑問系だ。

「ええっと」どうしよう?何のことを言ってるいるのだろうか?

「やめておけリヒテンシュタイン嬢」エリザベス嬢の肩に手を置いて怖ろしく整った顔の男子生徒が言った。

「ジークハート殿下、エリザベスと呼んでくださいませ!わたくし長い長い夢を見たのです。卒業パーティーで殿下とこんな感じの可愛らしい方に断罪されて婚約破棄されたんです!」


 これはもしやエリザベス嬢は悪役令嬢⁈

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