🐳🌸

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 「くじらさん! なんですか! それ!」


 ユリちゃんはオレに気づくと、食堂脇のベンチをとびおりバタバタとかけてくる。

 せっかく着た浴衣が崩れないか心配だ。


 「めちゃくちゃ、かわいいですよ!」


 かわいい⁉︎


 納品だから、て、オレは朧月に、彼の同居人が選んだとゆう甚平を着せられていた。

 藍染の海に、裾のところで大きなくじらの頭がのぞいている。


 六月二十日、午後十二時。

 依頼完了を報告。


 「ユ、ユリちゃん、」

 「はい!」

 「オ、オレ、あ、…ぼ、ぼく? と、一緒に、」

 「はい!」

 「ホタル、見に、いきましょう」


 「はい! よろこんで!」


 【第一章 おしまい】

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