第2話 100万人を目指して

『第一回、ミーコを人気者にする方法を考える会、始まるよ~!』


:なんか始まったw

:いぇぇえええええええええ!

 

『今テンション高かった人、何かアイデアを出しなさい』


:まずはチャンネルを開設します


『キャハハッ、それな。ミーコの配信YouTubeじゃなくてユラティブじゃん。まだVtuberですらなかったわ。ウケる』


:いや草

:何わろw

:そいやなんでユラティブ?


『理由かぁ……』


:神妙な雰囲気

:実は過去にBANされてるとか?


『肉体を用意するの難しそうだなって……』


:普通の理由で草

:ミーコは霊体だった?

:ガワいらねぇのユラティブの利点よな

:最初は2Dも有りじゃね?


『2Dはシュールでしょ。ただでさえゲーム画面の横でカクカク……ふっ』


:どした?


『ごめん。ゲーム画面の横にずっと真顔のイラストあるとこ想像したら……』


:草

:真顔じゃなくていいだろw 


『とりまガワ無理くね? 作れる気しない』


:そこはハイスペお兄ちゃんの出番でしょ


『お兄ちゃん唯一の弱点が絵心だからなぁ』


:意外

:コネとかありそう


『あー、コネあるかも。でもどうやって頼もうかな』


:お兄ちゃん、ミーコ、ママが欲しい!


『草。お兄ちゃん混乱するわ』


:お義姉さんと書いてママと読む?

:イケメンお兄ちゃんのママになりたいだけの人生だった

:普通に彼女居そうだけど


『お兄ちゃん独身だし彼女も居ないよ』

 

:分かってるよ。私の為、だよね

:なんかお兄ちゃん狙ってる奴おるな

:仕事人間なのか?


『シスコンだから……』


:草

:弱点あるとこも含めてスパダリっぽい


『ヒキニートの妹を養ってること伝えたら、大抵の人は逃げるんじゃないかな……』


:なんかごめん

:私は余裕だが?


『とにかく、お兄ちゃんが安心して結婚するためにも、ミーコは有名になりたいってわけ。お前らのアイデア、期待してるぜ』


:他力本願で草

:雰囲気だけは良い話だった

:とりまリスナーの呼び方だけ決めとく?


『他力上等よ。ミーコがスライムならお前らは上に乗ってる鎧な。リスナーの呼び方は、お前らじゃダメなの?』


:個性が欲しいかも

:一瞬またたびとか思ったけど既におるな

:猫キャラはライバル多そう


『猫耳を捨てる時が来たか?』


:それを捨てるなんてとんでもない!

:でもガチで人気狙うなら猫は厳しくね

:大事なのはトークよ。ガワなんて飾り

:配信頻度も重要よね


『配信頻度は任せろ。ヒキニートだからね』


:欠点を長所に変える女

:喉を大事に。ほどほどにな


『ありがと。お前ら優しいから、お兄ちゃんの次に好きだぜ』


:非実在お兄ちゃんっょぃ

:いつから我々が実在していると錯覚していた?


『お前らAI説は毎日考えてるけど、お兄ちゃんは実在しとるわ!』


:AI扱いされてたのか

:ひどい! ちゃんと実在してるのに!


『酷くないですぅ! お前らがいつも言ってることですぅ!』


:ミーコと気持ちを共有してしまった?

:これもう実質

:おっとそこまでだ


『はーい、話を戻すよ。真面目に考えてね』


:ゆーて、まずはママだろ

:それな。肉体が無いと始まらん


『んー、分かった。試してみる』


 そして翌朝。

 兄は、食卓に置かれたメモを見つけた。


『ママが欲しい』


 兄は顎に手を当て、ふむと考える。

 数秒後、スマホで「Vtuber ママ とは」と検索した。


 VTuber(バーチャルYouTuber)の「ママ」とは、キャラクターデザイナーやイラストレーターのことを指します。VTuberのプロフィール欄には「ママさん」や「パパさん」と書いてあることがありますが、ママさんはキャラデザやイラストなどを描いた人、パパさんはパーツ分けしたイラストを動かせるようにした人(モデリング)を指します。(※生成AIは試験運転中です)


「なるほど」


 要するにミーコのメモは、「お兄ちゃん! 最強のデザイナーを探して!」ということを意味している。


 兄はペンを持ち、ミーコのメモに一文だけ添えた。


『任せろ』

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