閑話 2


「さて、どうにも正当な方法ではあの家を得ることは無理か」

「もう面倒くさいから、一気に押し入っちゃって、黙らせちゃえばいいのに」

「そうして、人が訪ねてきて大事になるのか? あの子達は、毎日仕事をしているからな。誰も外に出なければ、誰かが様子をうかがいに来るぞ。表通りに面しているので、そうそうおかしな真似はできない場所だ。

変に注目を集めたらどうするのだ。あの家に、何かあるのではと勘ぐられ、調べられたりしたら」


「どんな形で、どこに隠されているのかも判らないのだ。状況からすれば、地下に埋めてある可能性が高いか。

埋めることで封印が干渉され、その反動で二人が飛ばされてきたとも考えられる。

であれば、あの土地自体にも何か影響がある可能性がある。だから土地ごと手に入れておきたかったのだがなあ。

封印を解くのにより良い場所に変化しているとかになっていれば。まあ、希望的観測にしか過ぎんがな。

ずっとあの家に住んでいる者に、何の影響もないのかも不明だ。観察している限りでいえば、何も変化はないようだが」



「秘密裏にっていうのが、勘ぐられるのならば。理由がはっきりしているのなら、いいんじゃないの。

例えば、が乱闘して騒ぎになったら? 理由がはっきりしていれば、家に関係するとか勘ぐられることもないんじゃないの。

ついでに、クレナータが居るときにぶつけるとか。あれ、定期的に家に行ってるらしいじゃない。運が良ければ、家に居る邪魔者もいなくなりそうだし。

そうそう、家も多少壊れれば、立て直すとかになるんじゃない? それ用に何か持たせておくとかもいいかも。上っ面がどうにかなっても、大丈夫よ、きっと。


どこか壊れれば、建物の建て直しやなんかに、商会の関係者を入れればいいんじゃないの。もう、それで良いんじゃない。

人死とか出るだけでも、建物を作り変えるって話になるんじゃない?

元を考えれば人の血が流れた方が良いかもよ 。影響を受けている者ならば、なおさらじゃないかな」


「家の中であれば、か。ふむ。人の血に反応してくる可能性もあるか」


「あの子、素直だから薬もよく効いてるし、丁度壊れかけているから、使うには頃合いかも」

言葉は、楽しそうな笑い声になった。




「探索ギルドの貸倉庫部門で、病気療養のため預かっているって。なんなのよ。わけわかんないわ。折角、役立たずでも出来る役割を与えてやろうと思ったのに」


「そう言えば、その男はクレナータの家にも絡んでるらしいな」

「邪魔ね。あれ。ちょっと店の者の“目”を借りて覗いてみたけど、ぼうっとした平坦な顔をしてたわ。間抜けな面しているくせに。私の遊びを邪魔するなんて」

「あまり大きな問題を起こすなよ。握りつぶすのは面倒なんだからな。

この国では、我々は一介の商人に過ぎない。足のつくようなことは避けろ」


「大丈夫よ。私の話は皆、同意してくれるもの」

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