あとがき

こちらの短編小説は、太刀川るい様主催の「第一回 AI短編小説コンテスト!!」に応募用の作品となります。


実際の作業内容とプロンプトは別ページで記載しますので、その他の要素を書いていきます。


●中の人:

普段は自力で一次創作・二次創作の小説を書いている人になります。ただしChatGPTによる小説執筆が初めての人ではないです。ChatGPTによる二次創作小説執筆の試行錯誤もやっていました。



●利用AI:

ChatGPT3.5になります。

真面目にAIに小説を書かせるなら課金してChatGPT4を使ったほうが良いだろうなとはものすごく思っています。



●利用レベル:

レベル4~6ですが、『そこに切り貼りと人手修正を入れまくっている』が正解です。次の項目でより詳しく言及します。


(参考:企画ページ引用↓)

AI利用レベル

レベル0 AIを使わない

レベル1 ネーミングなどの単語生成にAIを利用、またはアイディア出しにAIを利用。

  (例:ワルそうな会社の名前を考えて)

レベル2 言い回し、押韻などにAIを利用

レベル3 文章に必要な要素をAIに考えてもらう。

   (例:昭和の映画館の情景をいくつか考えて欲しい)

レベル4 情景描写、登場人物の台詞などをそのまま出力

レベル5 一章単位の文章すべてをAIに出力させる

レベル6 テーマ、構成もAIに決めさせる

レベル7 手直しなし、一発ですべてが生成される。

(参考:企画ページ引用↑ここまで)



●具体的にAIにどこまでやらせたの?/人手でどこまでやったの?

・メインアイデア【完全人手】

「空飛ぶ靴をはいた郵便屋の女の子」は、本件と全く関係なく自分が過去に考えていた、使う予定がなかったネタから流用しました。(本当はこのネタ出し部分もやらせようとしましたが、いまいち良いものが出ませんでした。)


・大筋アイデアや、舞台、小道具などのディテール作成【AI・人手が半々ぐらい】

「空飛ぶ靴をはいた郵便屋の女の子」というネタを元に、ざっくりした大筋のアイデアを複数出させて有用なものを選び、さらにディテールを詰める作業も同様に複数案出させて有用なものを選ぶことを繰り返しました。ただしディテールを詰めている最中に自分で良い案を思いついてしまったものはそちらを採用しました。


・プロット【AI・人手が半々ぐらい】

アイデアが固まって来たのでそれをプロットレベルに引き上げていきます。これも複数出させて有用なものを選んでいますが、ここまでくると100%採用できるような案が出ることはなく、プロンプトを細かく変えながら数十個の案を出させて良いイメージをつぎはぎしながら進めていくイメージです。


・小説下書き【完全AI(何回かガチャはしている)】

小説を書けと命令してざっくり書かせます。この段階では短すぎるうえに面白みもないものしか出ないので使い物になりませんが、本番じゃないので良いです。


・キャラクター設定、口調設定【完全AI(何回かガチャはしている)】

小説下書きを元にキャラクター設定を出させます。この時点でおおむねの筋は出来てるので人間の頭の側ではキャライメージは固まってるんですが、AIをブレさせないためのおまじないプロンプトを作る意味です。


・本文作成【AI&切り貼りが7割・人手が3割】

地獄ガチャ。

1.小説下書きを①②③……と複数に分割します。

2.①を全部書かせます。良い感じになるまでガチャします。

3.①を書かせた中で深掘りが足りないところにフォーカスして書かせます。良い感じになるまでガチャガチャして良い感じに切り貼りします。

4.情景描写が足りないだのアイテムのディテール描写が足りないだのを判断してガチャガチャガチャガチャして良い感じに切り貼りします。

5.あっこれAIじゃここのロジック繋げられねえな。このAIが作った矛盾はAIじゃ解決できねえな。などと思ったところはしょぼしょぼ書き足します。

6.2~5を全部終わるまで繰り返します。

7.最後に全体的な体裁を整えたり、エモみ付けをしてみたりします。

地獄ガチャです。3~4工程のレベルまで深堀りした命令を出せばAIも結構良い文章書くんですよ、整合性の問題などで切り貼りしないと使えないだけで。

文字数的には7割ぐらいがAI出力で、3割ぐらいが人手なんですが、切り貼り&微修正が多すぎて全然そんな気がしません。人間がAIの奴隷だよ。


・タイトル付け【完全人手】

タイトル付けは過去のChatGPT試行の経験でまともなものが出てきた試しがないことと、作品モチーフが児童向けファンタジー文庫や学年誌低学年向け漫画で「ここはベタに肩書+キャラ名のタイトルだろう」の意識だったので最初からAIにやらせる気はなく、決め打ちでした。



●執筆時間:

時間かかりすぎてて恥ずかしいからはっきりは言いませんが、自力で書いたほうが二、三倍早い、ぐらいの時間はかかってます。ちょっと正気の沙汰じゃない。

アイデアだけAIに出させて自力で書いたほうがよっぽど早いし、何よりAIとケンカするフェーズをやらなくて良いのですっきりします。


●ジャンル選び:

最初にAIに無からネタ出しさせてたときはジャンルも特に決めていなかったんですが、どうもネタ出し自体が上手くいかなかったので、何かこちらでネタを入れて出力を絞る必要がありました。こちらでネタを入れるということは、その時点である程度ジャンルも決まってしまうということです。

で、ChatGPTは「光の腐女子闇の腐女子~」みたいな俗語で言うと圧倒的『光』なんですよね(ChatGPTに小説を書かせようとしたことがある人には多分伝わると思う)。『光』以外の展開やキャラを書かせようとすると設定を事前に教えまくる必要がある上に実際に出力するフェーズでもプロンプトに気を配らないといけないんですが、『光』展開&『光』キャラなら何も教えなくてもそれっぽくなるというのは経験的に知っていました。

そのため『光』キャラで構成できる『光』作風が良い→児童向け風かな、という発想になりました。

あと、10000字の字数制限でさくっと終われるだろう話、という意図もありました。(自分で書くなら字数が予測できますが、AIにプロット書かせて膨らませていくのは予測ができないのであらかじめ短めの筋にする必要がありました。)


●文体選択:

ですます調で書かせるとちょっとAI臭が薄くなる気がする。


●利用してみた感想:

つーかーれた。いや、知ってはいたんですよ。先に述べた通り、ChatGPT(3.5)に小説書かせるのは初めてじゃないので。クオリティを求めると全然割に合わない作業時間がかかるのは知っていました。単に参加したいから参加しました。


個人的には正直、少なくとも現在の(とりあえずChatGPT3.5の)状況ではAIは人手には到底かなわないという認識です。文才は人(それもプロレベルでなく趣味物書きレベル)に劣るし、ちょっと複雑なものを書かせただけでロジックは平気で矛盾します。それを修正できる人は自分で書ける人でしょ。

アイデア出しには非常に使えるなと思ってるんですが、その「アイデア」レベルでしかないものを有機的に繋げて物語にできる能力も多分「自分で書ける人」のものなわけで……。


一方で、AIを使うということは疑似的に他人の脳を使っているようなものですから、「ガチャでクリティカルが出れば強い」というところはあります。ガチャ結果が良ければ自分からは絶対出ないようなアイデアが出せますからね。

今回で言えば「竜は宝物を守る『ために生まれる』種族」は自分からは出てこない設定だなあと思いました。「竜は宝物を守る種族」はときどき聞きますけどね。

それと、パルが初見でリリアンを信頼する理由になるアイテムについても、元は空飛ぶ靴とは別に何かを持たせようとしてたんですけど「空飛ぶ靴をそのまま使えばええやろ!」とAIにツッコミを入れられました。


現状では書ける人が補助的に、アイデア出し、あるいは部分的にどうしても書けないところに使う(どうしても理解できないキャラを動かす必要がある二次創作など。だいぶ限定的な状況)というのが妥当かなあとは思っています。先に物語の筋道をイメージできちゃう人ほどAIとケンカするハメになるんですよね、今のところ。『光』が書けない人が『光』を書くのには良いですね。

ただ、伝え聞くだけでもChatGPT3.5→4の進化は目覚ましいですし、今できないからといって来年にどうなるかは全く予想できないと思っています。個人的にはAIに質が高い小説を書かせられる時代は割とすぐに来るんじゃないかと思っていますよ。ただ、そのぶん題材選択やテーマ性あるいはマーケティング問題といった、文才以外のところで血みどろの殴り合いをしていくことになるんじゃないかな。そのとき有利なのは結局既存の小説家じゃないかなという気もしています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る